1,800円以上の注文で送料無料

解剖刀を執りて 新編 の商品レビュー

5

2件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    0

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2010/04/02

もう一つ、印象的なことがある。森先生の随筆には、聴覚的な印象や独活気の頻出するものがある。ご本人が形態学者であるだけに、これには興味をそそられる。試しに注意して読まれるといい。ことばの引用もまた、書物からの引用ではなく、会話の引用が多い。森先生の研究にも、それが反映していないか。...

もう一つ、印象的なことがある。森先生の随筆には、聴覚的な印象や独活気の頻出するものがある。ご本人が形態学者であるだけに、これには興味をそそられる。試しに注意して読まれるといい。ことばの引用もまた、書物からの引用ではなく、会話の引用が多い。森先生の研究にも、それが反映していないか。「鶏胚の卵殻外培養」のごとき、発生学の仕事はその典型か。卵の中身を外に出して発育させれば、発生していく状態を、随時観察できる。先生の興味は、おそらくその「姿」ではなく、「動き」にあったのであろう。

Posted byブクログ

2009/10/04

森鴎外の長男、解剖学者の森 於莵の随想。 解剖学教室や欧州の大学の出来事、解剖刀での死体との会話など興味深い。 毛細血管をレースと表現するドイツ教授の話が面白かった。 「解剖家はすべからく困難に耐ゆる事仙人のごとく、技巧を凝らす事美術家のごとく、しかも汚穢を厭わざる事豚の胃袋...

森鴎外の長男、解剖学者の森 於莵の随想。 解剖学教室や欧州の大学の出来事、解剖刀での死体との会話など興味深い。 毛細血管をレースと表現するドイツ教授の話が面白かった。 「解剖家はすべからく困難に耐ゆる事仙人のごとく、技巧を凝らす事美術家のごとく、しかも汚穢を厭わざる事豚の胃袋のごとくなるべし」

Posted byブクログ