テクノヘゲモニー の商品レビュー
百七十年前のココム事件◆パックス・ブリタニカ◆帝国への助走◆産業革命の必然と偶然◆気がついてみたらヘゲモン◆技術のゲオポリティーク◆分断国家ドイツの原点◆技術覇権主義の台頭◆アメリカ・バイ・デザイン◆アメリカはどういう国か◆アメリカン・システム◆日米摩擦の構図◆矢は折れたか◆鬼っ...
百七十年前のココム事件◆パックス・ブリタニカ◆帝国への助走◆産業革命の必然と偶然◆気がついてみたらヘゲモン◆技術のゲオポリティーク◆分断国家ドイツの原点◆技術覇権主義の台頭◆アメリカ・バイ・デザイン◆アメリカはどういう国か◆アメリカン・システム◆日米摩擦の構図◆矢は折れたか◆鬼っ子日本と日米摩擦
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「エミュレーション」をキー・タームとして、英・独・米・日を巡る「ヘゲモン」の移り変わりを描く。移民などによる技術流入からそれをコピーする、という流れ。平成元年の出版で、日本の位置付けなど若干古いところもあるが、興味深い視点を提供してくれる。
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[ 内容 ] ビデオ・半導体の世界的シェアの独占から、日本の技術覇権を云々する説は多いが、はたして本当か。 東芝ココム事件のような国家安全保障と結びつく国家技術摩擦は、どんな世界秩序の枠組で捉えたらよいのか。 一昔前の武力・領土的発想や、最近の通商国家論の如き経済視点ではなく、本書は「国家は技術によってヘゲモニーをかち取り、技術によって失う」という観点から大国の興亡を読み直し、日本の今後の進むべき方向を示唆する。 [ 目次 ] 序章 170年前のココム事件 第1部 パックス・ブリタニカ(帝国への助走;産業革命の必然と偶然;気がついてみたらヘゲモン) 第2部 技術のゲオポリティーク(分断国家ドイツの原点;技術覇権主義の台頭) 第3部 アメリカ・バイ・デザイン(アメリカはどういう国か;アメリカン・システム) 第4部 日米摩擦の構図(矢は折れたか;鬼っ子日本と日米摩擦) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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著者の薬師寺泰蔵と言う人は、日本の国際政治学者には珍しく、MITでPh.Dを取得している。 そこでは、公共政策学なんかをやりつつ、科学技術と国際政治の連関について触れる機会があったらしい、これともう一冊『テクノデタント』という本をそういった主題で出している。 まずこちらは、『テク...
著者の薬師寺泰蔵と言う人は、日本の国際政治学者には珍しく、MITでPh.Dを取得している。 そこでは、公共政策学なんかをやりつつ、科学技術と国際政治の連関について触れる機会があったらしい、これともう一冊『テクノデタント』という本をそういった主題で出している。 まずこちらは、『テクノヘゲモニー』である。これはテクノロジー(技術)とヘゲモニー(覇権)の二語を併せた単語であり、その意味は、技術力がヘゲモニーを形成するという議論である。 この議論を理解する前には、実はその前にいくつかの国際政治学の流れを踏まえていると便利だ。 本書は1989年に出版されたが、1970年代から80年代にかけて、世界システム論というのが流行ったことをまずは知らねばならないだろう。 経済学の用語に、シュンペーターがまとめた「コンドラチェフの波」というのがある。これは技術革新なんかによって、その発展が50年の周期で上下するサイクルになっていることを主張したもので、これをウォーラーステインなどが国際政治の世界に導入すると、システム内の覇権が勃興して没落してというサイクルの存在を主張できるというわけである。 80年代中盤になると、『大国の興亡』という、これも覇権国が経済的な観点からどう推移していったかまとめて大ベストセラーになった本があるが、薬師寺泰蔵がやったのはこの試みに似ていて、それを技術という一点からまとめたのがこれであろう。 換言すると、技術によってどのように各国は発展し、そして覇権を獲得したのかという歴史の大きな流れがまとめてある。 産業革命が初めに起きたのは、イギリスであった。これは、小国であったイギリスを「気がついてみたらへゲモン」という状態にのし上げるが、ご存知の通り、その技術は他の国にも波及する。 この本では、どうやってイギリスの産業革命が起きたのかを、特に人の移動という観点から強く論じており、それらがどのようにして他国によってエミュレート(模倣)されたのか、どうやってドイツはその技術力を獲得し、アメリカはどう発展し、そして日本がどう産業大国になったのか、それを描く。 日本はその当時、その産業技術のレベルの高さからアメリカと貿易摩擦を起こしており、両国ともにその問題に躍起になっていたが、それに対する一つの政策提言も可能とする一冊であり、薬師寺氏のその知識の厖大さと主張の説得性には舌を巻かざるをえまい。 とは言え、このテーマで描くのに、その記述は必要かと首を傾げてしまうところがあるのが残念。 大量の知識があるからか、それをアウトプットしたい欲求に駆られるのか、脱線が多く、その議論の流れが掴みにくくなるところもしばしば。 また、技術→覇権という政治力への転換が、うまく叙述されきっている気はしない。各国技術の推移ばかりに焦点が当たり過ぎているようにも思う。 そのあたりが、少し残念。
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