神話の果て(下) の商品レビュー
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企業の依頼を受けて破壊工作を行うって部分から、フォーサイスの「戦争の犬たち」を連想した。あっちはダンドリ小説みたいな印象でいまいちだったから、これもそうだったらどうしようかってちょっと心配だったけど、こっちは大丈夫だった。 わざわざ脱獄させた革命家の男に偽装して、ゲリラに潜入しそのリーダーを殺害するっていうのは、フォーサイスの力技に比べると気が効いてる。やっぱ船戸与一は基本的に話作りがうまいわ。 志度正平が文化人類学者から破壊工作員になった理由というのが、ちょっと弱いけど、最初からボスのビッグフォードが死んだり、元ポルポト派の殺し屋ポル・ソンファン(実は こいつが一番キャラが立ってる?)に意味なく狙われたりで、弛緩する部分はない。ただ、CIAがなんかいい奴。本来ならポル・ソンファンを利用して志度正平を殺させようとするぐらいのことはやると思うけど。最後に志度正平を助けちゃうのもなんかなあ。もう一人は役立たずだし。 一番印象的だったのは、ポル・ソンファンがロバを殺して血を飲んだり、寒さから逃れるために血を浴びるところかな。大藪春彦でもここまではやらなかったような。こういうのってサバイバルテクニックとしては一般的なことなんだろうか?でもここまでやる男の割には、死ぬときはあっけなさ過ぎるよなあ。裏を返せば、暗殺者は体力ではないってことなのかもしれないけど。そういう意味ではポルポト派はやっぱ怖い。 最初は、「戦争~」と同じでゲリラ側に寝返って終わりかなって気がしてたけど、はずれました。みんな死んじゃいます。志度正平の子供まで。ありがちな感傷的なラストはいやだったんすかね。でも個人的には、さすが船戸与一と思ったけど。それと俺は絶対船戸与一の小説の主人公にはなれないことがわかった(最初からわかってるって話もあるけど)。俺ならラポーラ死体の確認せずに、山を降りちゃうもの。それだとドラマにならんもんな。 でも「山猫の夏」と比べると、やっぱちょっともの足りない。志度正平のキャラが立ってない気がする。船戸与一にしては、ちょっと短いからかな。ポル・ソンファンと山猫の対決だったら、もっと盛り上がったろうけど。
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1991年の二版本。物置から出てきた、究極の積読本。舞台であるペルーの歴史背景など、ちりばめられ、飽きることなく読み進められた。ひと昔前の男の冒険小説。
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