飛ぶ夢をしばらく見ない の商品レビュー
病院の都合で同室になってしまった男女の、女性に起こる不思議な現象。それを受け止めようとする男性と、自分の運命を受け止めようとする女性。お互いの受け止め方の違いが切ない。後半は嫌いな人もいるかもしれないけれど、私はきれいだとおもった。
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官能小説風味ですが、切なさが一級品。どんどん若返っていく恋人と中年男のロマンス。どうしてそんなに性描写をする必要が?と思ったけど、最後まで読むと、セックス=エロスではなくて、究極の「生」の確認方法なのだと、自分なりに解釈しました。4歳の幼女の身体の檻に閉じ込められた、最期の睦子。一人で雑踏に消え行く彼女の姿が浮かんできて、本当に胸が締め付けられます。昔ドラマで「13ヶ月」という同じテーマの話があったなぁ。小室哲也のドラマ主題歌と合わせて、あちらもかなりハマッた記憶があります。私の好きなタイプのテーマらしい。何度か読み返しています。
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読み終わってから目を閉じて、最初に睦子に出会ってから最後のページまでを思い出してみてください。きっと主人公と同じ気持ちが分かります。
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70点! 少し特殊な内容だった。病院で出会った老婆がどんどん若返り…。これは、さくらんぼシンドロームじゃないか!もしくはベンジャミンバトン!!それにしても、やりすぎでしょ~(・_・;)5歳くらいの子供になってまで…。この本のテーマはなんだろう?さらっと読めるのに、読み込めば色んな...
70点! 少し特殊な内容だった。病院で出会った老婆がどんどん若返り…。これは、さくらんぼシンドロームじゃないか!もしくはベンジャミンバトン!!それにしても、やりすぎでしょ~(・_・;)5歳くらいの子供になってまで…。この本のテーマはなんだろう?さらっと読めるのに、読み込めば色んな解釈ができそうな奥深さを感じた。いろんな詩を読みたくなった。
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完全なる大人の世界のエロス。未成年のわたしにはまだ読むのは早かったかも。でも未成年だからこそ、なんだか背徳感めいたものを感じつつ、どきどきしながら読めた。飛ぶ夢は見たことがないです、と恩師に言ったら、「子供は見るもの。大人になるとだんだん飛べなくなる。見たことないって人は、最初か...
完全なる大人の世界のエロス。未成年のわたしにはまだ読むのは早かったかも。でも未成年だからこそ、なんだか背徳感めいたものを感じつつ、どきどきしながら読めた。飛ぶ夢は見たことがないです、と恩師に言ったら、「子供は見るもの。大人になるとだんだん飛べなくなる。見たことないって人は、最初からませてたんじゃない」とのこと。すこしこの本に対する理解が深まったかも。
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最後のほうを読んでいるとエロエロなのだけど、この世から消えてゆくものもさりとて、残されたものはこれからどうやって生きてゆくのかという行く末を思うと、セックスで確かめあうしかないのかなと、思わされて、切なくなる。 ググってみて、『ベンジャミン・バトン』との相似を語っている人が結構...
最後のほうを読んでいるとエロエロなのだけど、この世から消えてゆくものもさりとて、残されたものはこれからどうやって生きてゆくのかという行く末を思うと、セックスで確かめあうしかないのかなと、思わされて、切なくなる。 ググってみて、『ベンジャミン・バトン』との相似を語っている人が結構多いことに納得。 自分だけかなあ、この小説(映画)と、『ベンジャミン』について考察してたのは、とか、思っていたので。そんなはずないよな。失礼しました。
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山田太一さんの小説は、シナリオライターとしての描写力でしょうか、私には読みやすい本でした。また、山田太一さんの作品は、どれも人間の優しさを見つめていて大好きです。
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ジャンル的には「時をかける少女」とちょっと似た、SF要素が入った青春小説、のような分類になるのだと思う。時間の流れが逆行してどんどん若返っていく人物を描くことで、時間の貴重さを表現するという、逆説的な構成。 映画「ベンジャミン・バトン」よりもずっと前に、同じテーマで、しかもより...
ジャンル的には「時をかける少女」とちょっと似た、SF要素が入った青春小説、のような分類になるのだと思う。時間の流れが逆行してどんどん若返っていく人物を描くことで、時間の貴重さを表現するという、逆説的な構成。 映画「ベンジャミン・バトン」よりもずっと前に、同じテーマで、しかもより哀切に満ちた形で表現されている小説があったということに驚いた。ベンジャミン・バトンと違うのは、それが、何十年も続く出来事を追っているのではなく、ほんの数ヶ月間の凝縮した時間の話しだということで、それだけに一層、一瞬一瞬の密度が濃くなっている。 この小説では「言葉」の交換が重要なコミュニケーションの手段になっているというところが面白かった。お互いの実年齢や見た目の年齢が離れている場合でも、唯一変わらないものとして、「言葉」と「声」があり、それのみを頼りにして、かろうじて繋がりを保っているような緊張感がある。設定は非現実的だけれども、かなりリアリティーがある小説だった。 クリーム色のスラックスに白のブラウス、黄色のサマー・カーディガン、薄緑のスカーフ。おとなしいものだったが、むき出しの現実に出逢ったような気がした。若さが、はじめてふさわしい姿で立っていた。(p.126) 目を伏せて動かない睦子は、今までとは画然とちがって、贅肉を払ったような簡潔な美しさがあった。少女の持つ埃っぽさ、子供らしい粗っぽさ、不器用さがなく、その代わりに67歳の体験に支えられた落ち着きと洗練があるように感じた。先入観もあるだろうが、玄関で足を拭く睦子の動作は、少女の雑駁な可愛らしさで私を捉えたのではなく、何気なく行き届いた大人の手の動きで、私を魅きつけていた。(p.199) 「人間のひとりひとりは自然によって行われる貴重な、一回かぎりの実験」 「デミアン?」 「そう。一回きりで二度とくりかえされることはない。だから、どんな人間でも注目に値する」(p.209) 「言葉が欲しいわ。なにか言葉。励まされるような言葉。こんな訳の分からない運命を納得できるような言葉、気晴らしになるような言葉、笑っちゃうような言葉、感動するような言葉。なんでもいって。おぼえている言葉、なんでもいってみて」 すると私は、それにふさわしい言葉を、ほとんど持たないことに気づくのだった。こんな身の上の睦子を励ますには、なにか根源的なものに関わる言葉が必要だと思ったが、その種の言葉が、頭に少しも浮かばなかった。(p.211) 奇跡にささえられた関係であった。自分の無力を思い知らされていた。人の力で、この運命は左右出来ない。そう感じていた。あるいは、感じさせられていた。(p.269)
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こちらも立ち読みで一気に。 男目線で女ってこういう風に見えて居るのか、の参考にはなりました。 秘密、とかそういうの好きですね。男性って 最後まで書ききってくれたのでよかったです。幼児になってもね。 最初のついたてのシーンなどは、映像で見ているかのように展開にドキドキしました。
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これは…。 ネタバレするので内容は敢えて書きませんが、好みが相当別れると思います。 個人的には内容が濃く深いだけに…「さすがにこれは」と思うシーンもありましたが、山田ワールドを知るにはこの壁こそが「妙」なんでしょう。きっと。
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