風の果て(下) の商品レビュー
長編
下巻は、又左衛門の仕事を綴りながら、市之丞との果し合いの日に向かって物語が進んでいく。他人を理解することなど出来ないのが当然なのかもしれないと思った。 市之丞以外の友人もまた主人公の一人。現代のサラリーマンものとも読める。よくある趣向かもしれないが、見事な出来だと思う。
長束
天空の声
最後の小見出し「天空の声」の「天空」とは、誰を想定して言ったものか。擬人か、実在か、想像を掻き立てられる。 上巻同様、四コマ漫画のコマ割りよろしく、場面が入れ違いに展開するのですが、幾分無理のある物語という印象がした。史実ならぬ、架空のお話なのだが、著者は本来苦手としたのだろう...
最後の小見出し「天空の声」の「天空」とは、誰を想定して言ったものか。擬人か、実在か、想像を掻き立てられる。 上巻同様、四コマ漫画のコマ割りよろしく、場面が入れ違いに展開するのですが、幾分無理のある物語という印象がした。史実ならぬ、架空のお話なのだが、著者は本来苦手としたのだろうか、と穿って見てしまう。 DVDでは、テレビドラマ版も出ています。こちらは良作。
聖熟女☆ミ
主人公の妻がかなり厭…
主人公の妻がかなり厭な感じで描かれているのですが、個人的には主人公の方がいけ好かなく感じられ、世評の高さに比べてあまり楽しめませんでした。
文庫OFF
- ネタバレ
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今は、清廉な家中藩士が清廉たるが故に借金に苦しむような時代だった その地位にいたりついたものでなければわからない、権勢欲としか呼びようがないその不思議に満たされた気持ちは、又左衛門のような、門閥もさほどの野心もない人間をも、しっかりと捕まえて離さなかったのである
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青春小説の部分、ビジネス小説の部分。いろんな部分があるように思います。自分の将来に夢と不安を持った青年5人、若くして不幸な死を遂げるもの、権力者になるもの、貧しいながらも幸せな家庭をもつもの、悲しい生涯を遂げるもの。主人公と近い年齢の私も、友人達と重ねてしまいます。若くして亡くな...
青春小説の部分、ビジネス小説の部分。いろんな部分があるように思います。自分の将来に夢と不安を持った青年5人、若くして不幸な死を遂げるもの、権力者になるもの、貧しいながらも幸せな家庭をもつもの、悲しい生涯を遂げるもの。主人公と近い年齢の私も、友人達と重ねてしまいます。若くして亡くなった奴、一部上場企業の社長になった奴、行方知らずの奴。自分は、このままでは悲しい生涯を終えるのかもしれないと悲観的になってしまいます。面白かったです。
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かつての軽輩の子は、家老職を占めるに至る。栄耀きわめたとはいえ、執政とは孤独な泥の道である。策謀と収賄。権力に近づいて腐り果てるのがおぬしののぞみか、市之丞は面罵する。又左衛門の心は溟い、執政などになるから友と斬り合わねばならぬのだ。逼迫財政打開として荒地開墾の鍬はなお北へのびて...
かつての軽輩の子は、家老職を占めるに至る。栄耀きわめたとはいえ、執政とは孤独な泥の道である。策謀と収賄。権力に近づいて腐り果てるのがおぬしののぞみか、市之丞は面罵する。又左衛門の心は溟い、執政などになるから友と斬り合わねばならぬのだ。逼迫財政打開として荒地開墾の鍬はなお北へのびている。
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男の友情と権力闘争の果てにあるものは?読み進めていくと、広がり続ける展開を、残り少ないページでどう話しが結ぶのか気になってしょうがない!!
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突拍子もない発想かもしれないが青春映画の古典『ビッグ・ウェンズデ―』を思い出した。江戸時代の侍達と60年代のカリフォルニアに集うサーファーの何処に共通点があるのかと問われれば答えに窮するが、恐らく共に青春の残照を時々懐かしみながらも前に進まざるを得ない、過去から未来にしか流れない...
突拍子もない発想かもしれないが青春映画の古典『ビッグ・ウェンズデ―』を思い出した。江戸時代の侍達と60年代のカリフォルニアに集うサーファーの何処に共通点があるのかと問われれば答えに窮するが、恐らく共に青春の残照を時々懐かしみながらも前に進まざるを得ない、過去から未来にしか流れない時の流れを描いた作品と言えよう。水曜にやって来る世界最大の波に相当するのが本作に出てくる大蔵が原という未開の荒れ地である。変わらざるを得ない者と変わらないものの対比が作品に深みを与えている。映像の方も無性に見たくなった。ググるか!
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主人公・又左衛門(隼太改め)は旧友と対決。爽やかだった青年たちが権力闘争をするのは正直な姿かも知れません。主人公が心の中で、一番純粋だったのは「厄介叔父」のまま一生を終えた市之丞だったかも知れないと思う場面は会社生活も終盤になった今の自分に照らし痛いほど分かるように思います。今から過去のいくつかの時点を振り返るという手法で一気に読ませる技術は秀逸ですが、やや分かりづらいかも知れません。
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