アジア史概説 の商品レビュー
この本は、1987年に発行された古い本であるが、とてもいい本です。アジア史全体を記述した本というのは極めて珍しく、その分量を500頁に抑えることは、宮崎市定という歴史の大家だからこそできたのだろう。 アジア全体の歴史に触れながら、通り一遍ではなくその本質を記述しているところが...
この本は、1987年に発行された古い本であるが、とてもいい本です。アジア史全体を記述した本というのは極めて珍しく、その分量を500頁に抑えることは、宮崎市定という歴史の大家だからこそできたのだろう。 アジア全体の歴史に触れながら、通り一遍ではなくその本質を記述しているところがすごい。途中で飽きるかななんて思っていたのですが最後まで興味深く読むことができた。良書でオススメします。
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・ウマイア王朝…第四代教主アリのときに、教主選挙についての内訌により、シリア総督ムアビアがシリアを根拠地としてダマスクスに都した。以後父子相続 ・ムガール王朝…蒙古人バーブルが西北インドを確保し基礎を築く(1526年)。ムガールとは蒙古という意味 ・インドは第二次世界大戦における...
・ウマイア王朝…第四代教主アリのときに、教主選挙についての内訌により、シリア総督ムアビアがシリアを根拠地としてダマスクスに都した。以後父子相続 ・ムガール王朝…蒙古人バーブルが西北インドを確保し基礎を築く(1526年)。ムガールとは蒙古という意味 ・インドは第二次世界大戦における日本の行動に賠償を求めなかった。さらにインドは、東京裁判において、戦犯の罪を問う不合理さを主張
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おもに「中国」を記述、戦中の原稿では支那か。宋がそれまで軽蔑し朝貢貿易で利を与えて化外の民と見下していたキルギスに征服され皇帝の両立鼎立を認めざるを得なくなって阿Qのようにひねり出した自尊心の朱子学、民族意識が征服王朝である清に引き継がれ、それを倒した孫文、蒋介石にまで波及したと...
おもに「中国」を記述、戦中の原稿では支那か。宋がそれまで軽蔑し朝貢貿易で利を与えて化外の民と見下していたキルギスに征服され皇帝の両立鼎立を認めざるを得なくなって阿Qのようにひねり出した自尊心の朱子学、民族意識が征服王朝である清に引き継がれ、それを倒した孫文、蒋介石にまで波及したとする。『特殊権益』は正当なもので、自衛的戦争として「大東亜戦争」と名付けた必然性が浮き上がる。情熱の書で見かけの厚さに反して読みやすい。「安易にアジアに介入する」アメリカの愚を鳴らしている必読の書。東南アジア、インドにも独創の見解 2014/10/14 Hironobu Yazawa 唐から宋までの説明で全体の1/3。古代からアジア全体にわたって交流があり、文化や政治体制に影響を与えていたことがよく分かる。テュルクや蒙古族などの中央アジアさらには西アジアとのあいだの活発な交流が生き生きと描かれる。近世史以降は、各国史をつなげただけという印象は少なからずあるが、最後にある近現代日本史の解説は秀逸。 2016/06/16 たかしくん 中々の骨太な1冊です。本著の真髄は第3章以降にあると思います。ユーラシア全体を、交通(すなわち物流、民族の移動)の観点から捉えてます。故にその要地である西南アジアこそが中世・近世への先駆けとなった主因であること、中でもイスラム教の出現が西南アジアのルネサンスで、それがヨーロッパ・東アジアの歴史に大きく影響を及ぼしていくとの史観にも説得力がある。もう一つ、ヨーロッパのアジア・アメリカへの帝国主義には、彼らの革命を通じた国民主義の勢いが不幸に発展した結果であること、この議論は新鮮でした。 2015/08/16 isao_key 宗教について踏み込んで書かれているのが興味深かった。「小乗仏教が各派に分裂し、おのおのその主張の中にたてこもって細かい分析註解と論争を累積して他を顧みないうちに、かえって仏教の理想を見失い、しだいに現実社会から遊離してゆくのに対し、進歩的な大衆部の中より、仏教の本義を考えて現実社会にこれを活用して共済の実をあげようとする新運動が台頭した」 MAT-TUN 宮崎先生の本だからまずハズレは無いが、本書はその執筆された経緯から面白い。太平洋戦争中の1942年の文部省から、大東亜共栄圏が成立した暁には共栄圏内の諸国民に読ませようとする遠大な目的が本書にはあった。皇国史観のようなものではなく極めて良心的なわかりよい概説書で今読んでも非常に面白い。西アジアで興起した文明が東流する様が読んでる端から伝わってくる。 umeko 勉強モードで読み始めたのですが、見事にひっくり返されました。時間においても地域においても広範囲の歴史を的確にまとめ、ところどころに挟まれる筆者の歴史観が興味深かったです。とりわけ第8章の最後、「経済の高度成長も、短期間で達成できたものは、また短期間で失い易いと覚悟しなければならない。」の辺りは、まさに今現在の日本の状況を予言したかのよう。
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非常に面白かった。 北方騎馬民族の遍歴や、韓国の嫌日教育がアメリカの政策だったなど興味ある話が盛りだくさん。 白眉は日本に青銅器時代がないのは、中国との国交の断絶・復活から一気に鉄器へと進化したという説。 歴史は古代から近代まで通して見ると流れがよくわかる。
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6年半ぶりにアジアでも仕事をするようになった。 俯瞰で物を見、考えるのに役立つのは歴史である。 宮崎市定『アジア史概説』(旧版:1947/1948, 新版: 1973)を読む。 ときどきパラパラと目を通すことはあったが 通読したのは初めてだ。 「新版の序」にこうある。 じ...
6年半ぶりにアジアでも仕事をするようになった。 俯瞰で物を見、考えるのに役立つのは歴史である。 宮崎市定『アジア史概説』(旧版:1947/1948, 新版: 1973)を読む。 ときどきパラパラと目を通すことはあったが 通読したのは初めてだ。 「新版の序」にこうある。 じつはこの書は何でもかでも書きこんである 世のレファランス・ブックとは違い、 ざっと通読して その間にある何かあるものをつかんでもらいたい という意図をもって書かれているので、 おそらくそんな点が買われているのであろう。 (p.9) アジアには中国がありインドがあり 東南アジアがあり、さらに西アジアがある。 筆者は交通史観とも言うべき歴史観で この広大なエリアを数千年単位の時間でとらえていく。 いかに他民族と交通で結ばれ交渉していくかが その民族の興隆と滅亡を決める。 文庫版562ページ。碩学の名著。
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ある地域の歴史を時系列(「タテ」の発想)に見ることは大事であり、学校の歴史の授業はそのような進め方が大半だったろう。しかし、同時に同時代における他の国の出来事を横断的に見る見方も非常に重要である。なぜなら歴史とは、前の時代に影響を受けることも多いが、それと同じくらいあるいはそれ以...
ある地域の歴史を時系列(「タテ」の発想)に見ることは大事であり、学校の歴史の授業はそのような進め方が大半だったろう。しかし、同時に同時代における他の国の出来事を横断的に見る見方も非常に重要である。なぜなら歴史とは、前の時代に影響を受けることも多いが、それと同じくらいあるいはそれ以上に、同時代の他国から受ける影響も非常に大きいからだ。それは今現在生きている私たちが何に影響を受けているかを考えれば一目瞭然だろう。本書はその「ヨコ」のつながりを意識しながら「タテ」の歴史を紐解いていく壮大な試みである。著者の風情からしてそもそも骨太の内容だが、思想的偏りを排除して、純粋な「タテ」「ヨコ」の因果関係を探求する様は、文字通り「真の歴史」を追及した書と言って過言ではない。
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内容は、タイトル通りアジア諸地域の歴史を氏独自の歴史観から概観しています。著者が第一線で活躍していたのときの日本の史学界は、ヨーロッパの発展過程を基準にした唯物史観によって近代化以前のアジアを“停滞した専制国家”とすることが“常識”だった頃。著者はそんな歴史観を真っ向から批判して...
内容は、タイトル通りアジア諸地域の歴史を氏独自の歴史観から概観しています。著者が第一線で活躍していたのときの日本の史学界は、ヨーロッパの発展過程を基準にした唯物史観によって近代化以前のアジアを“停滞した専制国家”とすることが“常識”だった頃。著者はそんな歴史観を真っ向から批判しております。そのためか、この本を読んでみますと少々過剰かと思えるほどアジアの優越を強調しております。しかしそれが逆に氏の個性を十二分に発揮する結果となり、他とは一線を画した“概説書”が完成し、初版から半世紀以上経ち、文庫版も幾度と版を重ねた今でも読者を魅了してなりません。用語は少々難解ですが、他の世界史概説書と比較しながら読むとよりいっそう面白さが引き立つ、そんな本です。私のブログでも裏話を紹介してますので(プロフィールの所から入って下さい)、よければそちらも読んでみて下さい。
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