現代読書法 の商品レビュー
列車のボーイから教師→岩波英語辞書の編者→大学教授になった著者が数多くの先人達の読書に対する考え方を抜きがきという形で紹介し、そこに自身の思いや経験談を加えて後人たちのためにと綴った本。 何かを学ぶときには一冊の標準書を精読しその分野のその他の書籍を補助用として読むこと、目録に...
列車のボーイから教師→岩波英語辞書の編者→大学教授になった著者が数多くの先人達の読書に対する考え方を抜きがきという形で紹介し、そこに自身の思いや経験談を加えて後人たちのためにと綴った本。 何かを学ぶときには一冊の標準書を精読しその分野のその他の書籍を補助用として読むこと、目録にはざっと目を通すこと、必ず鉛筆一冊の備忘録を用意すること、記憶は回数が重要であることなど現代でも色褪せない読書法が記されていた。 読書法だけでなく書物を愛する著者の人となりも大変興味深く、月俸が18円の時代に80円のセンチュリー大事典を月賦で購入してその後一年間食卓のおかずは沢庵のみだった話や、巻末の解説に書いてある著者を紹介する文だけでも面白かった。なんでもスマホで調べられる時代に生きる私としては背筋が伸びる思いがした。 またこの本には文庫本ながら著者の思い通りに巻末に索引がついているところにもグッと来た。
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田中菊雄(1893~1975年)氏は、北海道に生まれ、父親の事業の失敗等により高等小学校しか卒業していないが、その後、主に独学で英語を勉強する傍ら、高等小学校、中等学校、高等学校の教員試験に次々と合格し、北海道、広島、新潟、富山、山形などで教鞭をとりつつ、複数の英和辞典の編纂に関...
田中菊雄(1893~1975年)氏は、北海道に生まれ、父親の事業の失敗等により高等小学校しか卒業していないが、その後、主に独学で英語を勉強する傍ら、高等小学校、中等学校、高等学校の教員試験に次々と合格し、北海道、広島、新潟、富山、山形などで教鞭をとりつつ、複数の英和辞典の編纂に関わった。中でも、実質的に独力で編纂したといわれる、1936年出版の『岩波英和辞典』は、世界最高の辞書といわれる「オックスフォード英語辞典 (OED)」を凝縮したものとして、絶版以降20年を経ても、多くの英語関係者が絶賛する伝説の英和辞典である。 本書は、1948年に発表され、数度の再版を経て、1987年に講談社学術文庫から出版された。(現在は絶版) 本書は、題名通り、読書の方法や情報取得・整理の技術について幅広い視点から書かれたもので、当時であれば画期的な内容であったと想像されるし(解説で紀田順一郎氏も書いているように、梅棹忠夫氏のベストセラー『知的生産の技術』(1969年)の20年も前に出ているのだ)、基本的な内容については今でも大いに参考になるものである。 しかし、本書を今でも読むに値する本たらしめているのは、本書には「自分の眼は書物を読むためにあるのだから、盲目になるまで読書をしようと心にきめた。命はみじかい。二流、三流の書物を読んでいては一流の書物が読めない。はじめからまっすぐに一流の書物を読まなくては」という心構えで書物に接し続けた著者の、書物愛と知的生活に対する情熱が溢れており、伝説の英和辞典を編んだ著者がどのような人物であったのかを語ってくれているからである。 引用されている人物・作品は、カーライル、吉田松陰、エマーソン、ニーチェ、モンテーニュ、阿部次郎、ゲーテ、リンカーン、本居宣長、シェイクスピア、与謝野晶子、小泉八雲、モーティマー・アドラー『本を如何に読むべきか(本を読む本)』、ジョン・ラスキン、ギッシング、新渡戸稲造、フランシス・ベーコン、ハマートン『知的生活』、夏目漱石、ヒルティ『幸福論』、小泉信三、エッカーマン『ゲーテとの対話』、聖書、五書仏教聖典、『菜根譚』、佐藤一斎『言志四録』、プラトン、マーカス・オーレリアス(マルクス・アウレリウス)『冥想録(自省録)』、徳富蘇峰など、古今東西を網羅しており、更に巻末には、読書に関する参考文献50冊が紹介されている。 一世の読書人、独学の士が、読書人の魂を訴える体験的読書論である。 (2008年4月了)
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【由来】 ・読書猿 【期待したもの】 ・何か、よさげ。古典っぽい?今、絶版。 【要約】 ・ 【ノート】 ・
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『現代読書法』 田中菊男 (エマーソンの言葉を借りて) 第一、出版してから一年を経たものでなければ、いかなる書物も読むな。 第二、声価のある書物でなければ読むな。 第三、自分の好む書物でなければ読むな。 というのである。ずいぶん思い切った原則で、これに対してずいぶんいろいろな批...
『現代読書法』 田中菊男 (エマーソンの言葉を借りて) 第一、出版してから一年を経たものでなければ、いかなる書物も読むな。 第二、声価のある書物でなければ読むな。 第三、自分の好む書物でなければ読むな。 というのである。ずいぶん思い切った原則で、これに対してずいぶんいろいろな批判もある(p34) わからないでもない。第一は勢いで購入しないように、第二は古典を読むことに、第三は積極的読書に通じる。 何と言っても「第一流の人の書いた書物を読め」ということが、書籍選択の最大の指針と思う。(p39) 著者は古典読書派である。 およそ読書の道において精読ほど大切なものはない。精読ほど我々の頭脳を鍛えてくれるものはない。精読ほど我々の頭脳を鋭利にしてくれるものはない。(p46) 古典精読派。 ちょうど私たちが平地にいる間はさほどにも感じないが、山へ登って行く時に自分が高く登れば登るほど、高い山の真に高く、低い山の真に低いことがわかってくるようなものである、古典というものは実にそういうものなのである。(p53) 表現がいい。古典を手に取ってみたくなる。 読書ばかりが決して学問ではない。真の学問は日々の仕事の中にある。人生の営みの中にこそ真の学問がある。読書はその人生をいかによく、いかに有意義に生くべきかを学ぶための手段に過ぎない。昼は業務に精励し、昼は読書研鑽、農民として耕し、賢人として思索するという心掛こそあらゆる現代人にとって金誡であらねばならぬと思う。(p91) 耳が痛い。表現もいい。そうありたいと思う。 読むべきものは聖書である。小説ではない、しかり神学ではない、註解ではない、聖書そのものである。(p115) 聖書はギリシャ神話とならび現在の西洋文化を作っている。と岩波文庫の『ギリシャ・ローマ神話』に夏目漱石がいっていた。聖書の知識は必須である。 聖書を読む人はまず第一に新約の四福音書(「マタイ伝」「マルコ伝」「ルカ伝」「ヨハネ伝」)を読むべきである。(p116) いつか読んでみたい。 五書(「考経」「中庸」「論語」「孟子」)——儒教の精神は五書の中に余すところなく盛られている。(p117) 一度も目を通したことがない。これも読むべき。 一体人生に処する道として、あまりに勘定高い生き方をするのは真の生き方ではない。(p124) つづいて書物についてもそうだと述べている。確かに。 我々はまずこれらの古典(クラシック)を熟知することによって、高き趣味を陶冶しなければならない。と同時に、また新書の中に古典を見出だすの修練を怠ってはならない。自らの眼を以てこれを看破らなければならない。そのためには、私たちはめいめい霊の冒険者(スピリチュアル・アドヴェンチュアラー)とならなければならないのだ。読書! 読書! 私たちの世界は何とひろいことであろう。(P192) 書き手のテンションも上がりまくり。本書での一番のポイント。
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今回Web本棚を始めようと思ったきっかけとなった本 私は今までは読書は読み捨ててきたが、著者はそれではもったいないと本の中で仰った 確かに今までの読み方では趣味の読書の範囲を出なかったので、これからは少しは記録を書き留めていこうかな ということで、読書と自分の向き合い方を考える良...
今回Web本棚を始めようと思ったきっかけとなった本 私は今までは読書は読み捨ててきたが、著者はそれではもったいないと本の中で仰った 確かに今までの読み方では趣味の読書の範囲を出なかったので、これからは少しは記録を書き留めていこうかな ということで、読書と自分の向き合い方を考える良書でした
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[関連リンク] 読書の喜びのすべてがここにある「現代読書法」田中菊雄 | Lifehacking.jp: http://lifehacking.jp/2009/10/book-reading-for-the-modern-age/
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師匠!!!!!! 読書の域ならず「学ぶ」ということについてとても真摯な姿勢が凝縮されている本。 この本を定期的に読んで自分を律するのです。
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