裏切られたベトナム革命 の商品レビュー
ベトナム戦争に勝利したのに味方のハノイ(北ベトナム政府)に裏切られ潰されてしまった南ベトナム臨時革命政府の要人がフランスに亡命していた。インタビュアーの著者が知りたくて、自分も知りたかった「なぜあっさりと潰されてしまったのか」のいきさつが50ページにわたり書かれていて満足。結局ハ...
ベトナム戦争に勝利したのに味方のハノイ(北ベトナム政府)に裏切られ潰されてしまった南ベトナム臨時革命政府の要人がフランスに亡命していた。インタビュアーの著者が知りたくて、自分も知りたかった「なぜあっさりと潰されてしまったのか」のいきさつが50ページにわたり書かれていて満足。結局ハノイの政治力は高く(狡猾)、ベトコンの政治力は低かった(純朴)からと理解した。ハノイ以外の後ろ盾も用意しとくべきだった。 他にも、ハノイは1972年のアメリカのウォーターゲート事件を見て米軍完全撤退を確信し政治的解決から軍事的解決=サイゴン攻略に方針転換した、等の内情が描かれていておもしろい。うまくまとまっている良い本。 ただ表紙に無関係のピュリツァー賞の有名写真を持ってくるのは違うだろう。ここは赤と青の地に金星をあしらった解放戦線旗をサイゴンに掲げるベトコンの写真ではないか。
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2018年12月読了。 南ベトナム民族解放戦線の創立メンバー、南ベトナム臨時革命政府の司法大臣を務めたが、北側との折り合いが合わずにボートピープルとして国外へ脱出したチュン・ニュー・タンへのインタビュー。 時系列的な記載内容が詳しく当時の記録として生々しいものがある。また、随所...
2018年12月読了。 南ベトナム民族解放戦線の創立メンバー、南ベトナム臨時革命政府の司法大臣を務めたが、北側との折り合いが合わずにボートピープルとして国外へ脱出したチュン・ニュー・タンへのインタビュー。 時系列的な記載内容が詳しく当時の記録として生々しいものがある。また、随所にホー・チ・ミンに対する畏敬のようなものを感じる。 白眉は第六章の「ホアビン(平和)」。以下に旧南ベトナムへの協力者が北側の共産党から差別的な取扱いを受け、また北側は北側で内部の腐敗を抱えていたかが描写されている。
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1986年(底本1981年)刊行。著者は産経新聞編集局次長。 最近、アニメーション作品を見ていると、昭和40年代がモチーフとなる作品が目につく。 またBS等の放映映画でもベトナム戦争関連作(「地獄の黙示録」「カジュアリティーズ」「グッドモーニング・ベトナム」等)が目立つ。半世紀経過したことに由来かと思いつつ、広義のベトナム戦争を、ベトナム内部かつ非共産主義で戦ったチュン・ニュー・タン(元南ベトナム民族解放戦線創設メンバー・南ベトナム臨時革命政府司法大臣)の供述録と、インタビュアのクロニクルで構成される本書を紐解く。 戦後アジアの東西対立は、冷戦でなく熱戦だった。これを雄弁に語るベトナム戦争の内幕を暴露する本書による印象は、 ① 米の対共産主義闘争(米ソの代理戦争)に、米中ソの関係性の変容とが絡み合う大掴みな部分と、 ② ベトナムの対仏独立闘争(インドシナ戦争)に淵源ある民族解放戦争の面、つまり大国の軍隊(米軍)の排除に力を尽くすミクロの面がモザイク状で展開してきたというものだ。 そして、 ③ 米軍を叩き出した途端、敵の敵は味方だった関係が崩れ、民族解放戦線は瓦解、共産主義を標榜しつつ軍と公安を掌握してきた北(べ労働党→べ共産党)の天下になった というベトナム戦争の多様性・多義性の印象を強く植えつけられた。 つまり、ベトナム内部からの視座は、ベトナム戦を共産主義闘争、あるいはそれと真逆の民族解放闘争というが如き、一元的な把握が危険であることを、我々に教えてくれる。 なお、タン氏の最終的な亡命先はフランス。 米国CIAからの接触も多々あったようだが、最終的に選んだ先に、植民地国と宗主国との分かちがたい関係性を感じずにはいられない。 タン氏がフランス語に堪能ということからもこれを想起できる。
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