リリス の商品レビュー
英国ファンタジー小説の原点のような作品。内容が細部まで理解できたどうかはさておき、チャプターが細かく区切られているので思いのほか読みやすい。ぶ厚いけどね。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
宗教すぎてついていけなかった。 ヴェインくんはなかなかどうしてクズでカス 美しく成長したからローナのことが好きになったとしか思えないのに、ローナに愛されて当たり前だと思っている節があり、 それどころかアダムやほかのすべてに愛されて当然としている厚顔さがすごい タイトルは『リリス』だけれど、たいしてリリスは重要でもなければ魅力的にも描かれていない、残念
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トールキンやルイス・キャロルへ大きな影響を与えたという英国の幻想作家のジョージ・マクドナルド。リリスとは誰か?読んでいくとアダムの最初の妻だという記述があった。ある時は美女。あるときは雌豹。あるときは老婆。主人公と一緒に不思議な世界を探検しよう。
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イブの前にリリスがいたんだって。リリスはアダムと同じ方法で作られた。でもアダムは自立している女性が怖かったので、リリスは追放され、アダムの肋骨からイブが作られた。
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読んでいて不可思議でわけがわからないのだけど、何だか読みすすめることができる文章。 で、わけがわからないのだけど、なんだか本当にあるのではという気がする世界。 『ナルニア国』『ゲド戦記』はたぶん、これを読んで、わけがわからない部分に刺激を受けて、それぞれの作者なりの世界を作り出...
読んでいて不可思議でわけがわからないのだけど、何だか読みすすめることができる文章。 で、わけがわからないのだけど、なんだか本当にあるのではという気がする世界。 『ナルニア国』『ゲド戦記』はたぶん、これを読んで、わけがわからない部分に刺激を受けて、それぞれの作者なりの世界を作り出したのではないか…。などと思った。 象徴的というか宗教的な作品です。
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たまたま見かけた古本屋で「これは何だか表紙が良いな」という理由だけで買い、その背景に迫る知る図ることなく読み進めて、いつのまにか右手が沈みきった。でも月日にすれば長かった、でもそれは問題じゃないだろう。 死をテーマにしているとか、魂の開放だとか、キリスト的背景があるにせよ……鏡(...
たまたま見かけた古本屋で「これは何だか表紙が良いな」という理由だけで買い、その背景に迫る知る図ることなく読み進めて、いつのまにか右手が沈みきった。でも月日にすれば長かった、でもそれは問題じゃないだろう。 死をテーマにしているとか、魂の開放だとか、キリスト的背景があるにせよ……鏡(扉)の向こう側は、私たちが持ちうる記号や意味を通さない世界、豊かな示唆に彩られる世界、私の理解や想像をしなやかに越えていく、眩む。 読了に技術を要したりするわけじゃなく、ただ想像して物語にかぶく、この本によって幻想がもたらされるのではなく、私によって幻想がもたられてゆく感覚。 しばらくは他の本読めないなあ、って。
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19世紀を生きたこの作家がいなければ不思議の国のアリスも指輪物語も、ナルニア国物語も存在しなかった。アダムの初婚相手の名を冠する本作は一匹の鴉に導かれて開いた扉の向こうに広がる、鮮やかなイメージの迸る夢の世界であった。旧約聖書のモチーフを核としつつ、それを万華鏡の様に乱反射させて...
19世紀を生きたこの作家がいなければ不思議の国のアリスも指輪物語も、ナルニア国物語も存在しなかった。アダムの初婚相手の名を冠する本作は一匹の鴉に導かれて開いた扉の向こうに広がる、鮮やかなイメージの迸る夢の世界であった。旧約聖書のモチーフを核としつつ、それを万華鏡の様に乱反射させて広げた世界観はラブクラフトが取り組んだ「個人による神話の再構築」を先取りし、夢は私の生命以上のものであるという考えはユングの共時性やカスタネダのドラッグカルチャーにも結び付く。想像力の源泉とも言うべき、果てなき広がりを持った一冊。
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キャロルの「不思議の国のアリス」のように次から次へと目まぐるしく イリュージョンが展開されるような前半と、すべてがキリスト教的 要素に落とし込まれていくような印象を覚える後半。まるで別の二つの 物語が自然と融合されているようなファンタジーだった。 すべてをキリスト教的に解題する...
キャロルの「不思議の国のアリス」のように次から次へと目まぐるしく イリュージョンが展開されるような前半と、すべてがキリスト教的 要素に落とし込まれていくような印象を覚える後半。まるで別の二つの 物語が自然と融合されているようなファンタジーだった。 すべてをキリスト教的に解題することは可能だろうが、ここは訳者の 荒俣氏の言うように、そのイメージの奔流に身を任せるのが正しい 読み方ではないだろうか。 100年以上前の作品をこうして読めることの幸せを噛みしめつつ。
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このタイトルと、解説でルイス・キャロルなどに影響を与えた作家であるとあったことから読むはじめ、さらにカルロス・カスタネダにも影響を与えていると知った。ほとんど近現代のファンタジーの原型がある。ただし、時代的なものもあり、キリスト教的で(大鴉がアダムであるなど)説教くさい(作者は元...
このタイトルと、解説でルイス・キャロルなどに影響を与えた作家であるとあったことから読むはじめ、さらにカルロス・カスタネダにも影響を与えていると知った。ほとんど近現代のファンタジーの原型がある。ただし、時代的なものもあり、キリスト教的で(大鴉がアダムであるなど)説教くさい(作者は元僧侶だったが)が、そこらへんを大目にみれば、圧倒的な作品。麻薬か何かをやりながら書いたのではないかとも感じられる。 巨人にリンチされたり、自分が精一杯助けた女性(実は悪の女王)やなにかに頬を「打ちすえ」られて血をしたたらせたりしても[p233]、その痛みが感じられない。表現されていない。二度目に巨人族に捕まり小人に助けられた時、それまで猫の大群に襲われた傷はどうしたのだろうか?[p332]それに比べて、寒さはまあまあわかる。骸骨はリアリティーが無い。死臭がしない。象徴的だと読めば納得。あるいは、キリスト教的なドグマなのか。圧倒的にリアルなのは、ものすごい現象とその現象にたいしてどう振る舞うかというディテール(例えば、助けた女性が獣に襲われるような様子を遠くから眺めているときの状態)[p230]。 悪い女王(リリス)は主人公ヴェインに助けられ、目を覚まして白い蛭がヴェインの首に吸い付いているのをみてそれを知らせるときはその少しあとでみせた冷淡さと正反対のあたたかみがある。その冷淡さの理由は後にあきらかになるが、白い大きな蛭に気がついて三ヶ月の長い眠り(ほとんど植物人間)から覚めるなどは、象徴的なだけか、何かの伏線なのか、思いつきなのか。 予想通り、唐突な出来事や登場人物などがあとの方で全部つながる。途中で赤ん坊を抱いていた女性は小人たちと接触して行動をともにするようになったし。さらに、小人たちは、もともとリリスの住むブリカの街の女性たち(ブリカの街の住人は不死)が、行方不明の?自分の子供を憎みすべての子供を殺そうとするリリスを恐れて森に捨てた子供らしい[p358]。 なぜリリスが自分の娘を憎んでいるかというと、かつて自分がアダムに捨てられたからであろう。彼との子供だから憎んでいた。 リリスの閉じた手。 眠り、目覚めること。死んでいるからこそ、生き生きとしていること[p438]。生きていることが、あの冷たい静かな寝台でまだ目醒めていない状態ではないと言い切れないということ(それは不安や恐れにもなるだろうし、逆に希望やらポジティブなものにもなるだろう。解釈しだいで)。その意識を植え付けられる圧倒的な、危険なファンタジーの古典。描写が簡略であっけなかったりするところが多いから、読み手が補完するしかないため、何度か読み返さないといけないだろう。ただし、そうする必要がまったくないひとはいるかもしれない。そんな予感もした。
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