故障した脳 の商品レビュー

ナンシー・C.アンドリアセン【著】,安西信雄,斎藤治,福田正人【訳】

2010/04/02

これは一般向けの精神医学の解説書である。ただし特徴が二つある。
一つは著者の立場である。表題からもわかるように、精神疾患を脳の故障と考える。だから、こうした本でしばしば力点が置かれる心理的、精神分析的な面より、生物学的な見解や方法が重視されている。
二つ目は、著者の経歴である。はじめ英語学の助教授であった著者は、その後精神医学に転向し、いまではアイオワ大学精神医学科の教授だという。その経歴からすれば、著者の立場は、文化的つまり精神分析的であって自然だという気もする。しかし、じつはそうならないところが変なようでもあり、もっともなようである。