ロココの時代 の商品レビュー

飯塚信雄【著】

2022/10/26

人間らしさ、官能性を解放していたロココ文化。その時代を彩った登場人物たちの素顔に迫りながら、歴史の文脈に於いてロココがどのような意味を持つのか再定義していく一冊。
最終章でのバロックや新古典主義、そして現代とロココの関係性。また、西洋文化を取り入れた日本に置き換えたときの江戸と明治の関係性の描写は非常に面白かった。合理性で排除されてしまう装飾性は、一見無駄でも、人間らしい生活を営む上では必要だったりもする。
本書の主題とは少しズレるが、「芸術への愛情も、つまりは遊びなのであって、芸術は人生の快楽に奉仕してこそ意味がある。人間が芸術に奉仕するのではない」という一説が印象的だった。この「芸術」をあらゆるものに置き換えて、教訓とすることができるだろう。