狼殺し の商品レビュー
ハードな冒険小説の書き手のクレイグ・トーマスを今さら発掘して夢中になってます。発表年順に読む第3作。第二次大戦の終戦間際のフランスで作戦中のイギリス情報部隊員が無慈悲な作戦の犠牲となって罠にかけられゲシュタポに逮捕・拷問。なんとか収容所送りになる寸前に逃亡。その19年後に始まる復...
ハードな冒険小説の書き手のクレイグ・トーマスを今さら発掘して夢中になってます。発表年順に読む第3作。第二次大戦の終戦間際のフランスで作戦中のイギリス情報部隊員が無慈悲な作戦の犠牲となって罠にかけられゲシュタポに逮捕・拷問。なんとか収容所送りになる寸前に逃亡。その19年後に始まる復讐の物語。いやきびしいね。人間を目的達成のための資源の一つとして躊躇なく消費していく組織や人。戦争なんてそもそもその最たる物ですが、現代の社会にも通ずるものがあります。自分の目的・欲望達成のために自由にできる資源の一つとして人間をを捉えるところから悲劇は起こります。人間を育成する機能も意欲も失い、欲しい人材は金で調達してくるポートフォリオ経営の企業、自己実現の名のもとに思い通りに人間を消費する実業家。あるあるだな。全部織り込み済みで生きていかなくてはいけない厳しい資本主義社会だということか。作者はそんな世の中を無慈悲に描くのですが、登場人物の心理描写が生々しくてリアル。どんな人間にもある弱さや醜さも描き物語に深みが増します。戦争によって捻じ曲がってしまった人間の物語は過去のものではなく、さらに争いが広がるこのご時世でまた復活してしまうのでしょうか。冷戦時代よりもたちが悪い世の中になってしまいました。ある意味ホラーよりも恐ろしい。使い潰されないように生きていくのはなかなかしんどい決断を下さなければならない事を思い知らされます。
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何か面白い小説が読みたいと思って、スパイ小説ではオールタイムベストに数えられるという「狼殺し」を読む。スパイ小説ってあんまり好きなジャンルじゃなくて、あんまり読んだことがない。この「狼殺し」にしても、面白いは面白い(実際、後半200ページほどは一気読みだった)んだけど、何か違うん...
何か面白い小説が読みたいと思って、スパイ小説ではオールタイムベストに数えられるという「狼殺し」を読む。スパイ小説ってあんまり好きなジャンルじゃなくて、あんまり読んだことがない。この「狼殺し」にしても、面白いは面白い(実際、後半200ページほどは一気読みだった)んだけど、何か違うんだよなー。作品が悪いわけではないのだが、こういうのが読みたかったわけじゃないんだよなー。
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北上次郎氏推薦だから手を出した旧作。60年台のヨーロッパを舞台にしたスパイ物語。フランスのリゾートやパリの描写は魅力的だが、ストーリーにはもう一捻りとドライブ感が欲しかったな。3.0
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英国秘密情報部の元工作員ガードナーの復讐劇を縦軸に、アメリカ、ソ連、フランス、NATO各組織入り乱れての二重スパイ狩りの顛末を描く。個人的復讐を利用して、諜報部奥深くに潜んだモグラを密かに抹殺させるという作戦は現実的には無理があるが、憤怒に駆られたままに殺しを重ねていくガードナー...
英国秘密情報部の元工作員ガードナーの復讐劇を縦軸に、アメリカ、ソ連、フランス、NATO各組織入り乱れての二重スパイ狩りの顛末を描く。個人的復讐を利用して、諜報部奥深くに潜んだモグラを密かに抹殺させるという作戦は現実的には無理があるが、憤怒に駆られたままに殺しを重ねていくガードナーの活劇はスピードと緊迫感に満ちている。いささか、プロットを複雑にし過ぎてしまった感はあるものの、冒険小説華やかりし頃の秀作として堪能した。
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