生徒諸君!(10) の商品レビュー
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1980年刊。 瑞穂高校編からやや大人し目で展開していたが、ここで本作の中盤のヤマの一に差し掛かる。それはマールの死。 別々の高校への進学で、悪たれ団も中学時代ほどベッタリすることはなく、クリスマスはナッキー、岩崎、沖田の3人で過ごす。 が、その中でマールは徐々に体調を崩していく。限界一杯に近づきつつあったマールは、夢幻の如き有り様でナッキーに謝罪する。「長い間ごめんね」「苦しめてごめんね」と。 普通の姉妹だったらどんなに幸せだっただろうにとナッキーに告げるマールは、心を残しつつも永遠の旅に旅立つ。飛島と母真理子に深い傷を残しながら。 が、ナッキーの孤独はそこで終わらないのだ。 この10~11巻で描かれた闇が、教師編・最終章を相当縛り、特に教師編ラストから最終章にかけての作品の迷走を来した大きな要素である。 「生徒諸君教師編」「同最終章」の作品の迷走に納得しているわけではないし、余りに稚拙な彼の作品を見るにつけ、もう少し何とかならなかったのかと言いたくはなってくる。 極言すれば、そもそも続編を無いものとすればいいわけなのだが、とはいえ作品を迷走に追いやった「親の弱さが子に与える影響」という問題は、本作の中心テーマと言えるのは間違いない。 やや大仰すぎるという本作の弱点はあるものの、親子関係を描かない最近の作品とは異質な描写は、人間関係の在り様を考える上でも、本作の誠実さを感じるところである。
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