東京温泉ナビ

渡部郁子(著者)

• 販売会社／発売会社: パワー社
• 発売年月日: 2025/04/05
• JAN: 9784827713688

商品レビュー

2025/04/20

本書は、「東京に温泉なんてあるの？」という疑問に応え、都内および島嶼部に存在する多様な温泉の魅力を100施設厳選して紹介するガイドブックです。長年東京の温泉を取材してきた著者が、泉質、ロケーション、施設のタイプといった様々な切り口から、読者が自分好みのお気に入り温泉を見つけられるようナビゲートします。

東京温泉の多様性と泉質 (序章、泉質解説):
東京には、都心部の高層ビルに併設されたスパから、奥多摩や島嶼部の自然に囲まれた秘湯、昔ながらの銭湯まで、驚くほど多様な温泉が存在します。
泉質も多彩で、大きく分けて塩化物泉（温まりの湯）、炭酸水素塩泉（美肌の湯）、硫黄泉、単純温泉（やさしい湯）、泉質名のない温泉の5種類（厳密には東京東部の強塩温泉を含め6種類）があります。
特に東京の温泉を特徴づけるのが「黒湯」です。これは古代の植物などが分解された腐植質を含むため黒褐色を呈し、泉質としては炭酸水素塩泉や単純温泉などに分類されます。アルカリ性で肌触りが滑らかなことが多く、美肌効果も期待されます。その色の濃淡も施設によって様々です。
温泉を選ぶ際は、泉質（効能や肌触り）、pH（酸性・アルカリ性）、溶存物質（成分の濃さ）などを温泉分析書で確認することが、より深く楽しむためのポイントです。
タイプ別温泉ガイド (第2章～第4章、番外編):
リゾート派 日帰り温泉 (第2章): 広々とした露天風呂や多様な内湯、美味しい食事処、マッサージやエステ、休憩スペース（漫画コーナーなど）が充実し、一日ゆっくり過ごせる施設を紹介。温泉旅行気分を手軽に味わえます。（例: 泉天空の湯羽田空港、東京豊洲 万葉倶楽部など）
東京の秘湯・島嶼部 (第3章): 都心から離れ、豊かな自然環境の中で温泉を楽しめる施設を紹介。硫黄泉や強アルカリ泉など個性的な泉質を持つ温泉や、絶景を望める温泉も。（例: 蛇の湯温泉たから荘、伊豆大島温泉ホテルなど）
町なかの温泉銭湯 (第4章): 日常的に利用しやすい、リーズナブルな価格で天然温泉に入れる銭湯を紹介。「スパ最高！」と評されるように、サウナや露天風呂など設備が充実している施設も多く、コスパ良く温泉を満喫できます。（例: 麻布黒美水温泉 竹の湯、武蔵小山温泉 清水湯など）
サウナ (番外編): 近年ブームのサウナを楽しめる施設を特集。温泉施設併設のサウナから、サウナに特化した最新施設、さらには伊豆大島の地熱を利用した天然蒸気サウナ「ひんぎゃ」まで、多様な「ととのう」体験を紹介します。
温泉の魅力と楽しみ方 (コラムなど):
健康効果: 温泉には温熱効果、水圧効果、含有成分による薬理効果などがあり、疲労回復や健康増進、美肌などに良い影響が期待されます。
感動体験 (Awe体験): 温泉に入ることで得られる、日常を超えた感覚、自然との一体感、心身のリラックスは、心理学でいう「Awe体験（畏敬の念を伴う感動）」に近いものがあります。これはストレス軽減や幸福感向上に繋がると考えられます。
専門家の視点: 中央温泉研究所の研究員との対談などを通して、東京の温泉の成り立ち（強塩温泉と黒湯の関係など）や泉質に関する専門的な知識を深めることができます。
思い出の温泉: 著者自身の心に残る温泉体験が語られ、温泉が人生にもたらす豊かさを示唆します。
本書は、豊富な写真と共に各施設の詳細情報（アクセス、泉質、設備、雰囲気など）を提供し、QRコードから最新情報へアクセスできるよう配慮されています。東京の温泉の奥深さと多様な魅力を再発見し、「お気に入りの一湯」を見つけるための、まさに「ナビ」となる一冊です。