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小説を書くということ 中公文庫
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小説を書くということ 中公文庫

辻邦生(著者)

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小説を書くということ 中公文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2025/03/24
JAN 9784122076327

小説を書くということ

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2026/07/20

私の好きな作家は自殺したり、鬱になったり、退廃的だったりと逸脱気味の人が多いのだけど、その中で辻先生はまっとうな大人で、本棚に著作があると安心する。没後25年は経った今になって、講演録等をまとめた本書が再出版されたらしく、久しぶりに本屋でお名前を見かけて買ってしまった。  作家志...

私の好きな作家は自殺したり、鬱になったり、退廃的だったりと逸脱気味の人が多いのだけど、その中で辻先生はまっとうな大人で、本棚に著作があると安心する。没後25年は経った今になって、講演録等をまとめた本書が再出版されたらしく、久しぶりに本屋でお名前を見かけて買ってしまった。  作家志望者向けの講座がベースになっており、辻先生の文学論や作家論が多く含まれている。見聞きした現実の世界ではなく、自分だけの世界を言葉によって作り上げることが小説を書くということであるとする。自分だけの世界というのは、根底の自分自身を動かしている観念、考え方に基づいていなければならない。絶望や死など、いい加減なものに妥協してはいけないと文学青年たちに釘を刺すところがさすが立派である。  また、文学の目的を現実世界と美の世界を逆転させ、人間をより高いものに向けていくことだとする。現実はきびしいが、きびしいと判断するのは私たちであり、自然と同様、本来は人間の生も沈黙している。それを意味のあるビジョンにしていくのが文学である。文学は想像力により一つの世界を作る。その世界を通る前と後で、読む者の人生は変わる。ある別の世界が与えられ、世界は豊穣となるという。  2026年、東京で何作かボッティチェリの作品が公開される。そのうちの1つはなんと『春の戴冠』とタイアップしている。本書では、辻先生がギリシャやフランスで感じた美のあり方が語られていて、『春の戴冠』に直接つながる着想を知ることができたのもよかった。ご自身が学園紛争などをとおして感じた世代間の断絶が投影されたのが主人公の娘アンナらしい。闘争をしていた学生の1つ上の世代で戸惑ったこともあったろうに、父性的な愛情をもっていたんだなと思う。  本書は講演などをまとめたものなので、似たような主題で似たようなことが語られている。辻ファンでなければ、正直全部読む必要はないと思うが、それでも全部読んでほしいと思う。

Posted by ブクログ

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