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交渉の戦略 孫子の哲学が導く意思決定の技術
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交渉の戦略 孫子の哲学が導く意思決定の技術

窪田恭史(著者)

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交渉の戦略 孫子の哲学が導く意思決定の技術

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 セルバ出版/創英社
発売年月日 2025/03/17
JAN 9784863679450

交渉の戦略

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2025/04/19

本書は、古代中国の兵法書『孫子』の戦略思想を、現代の交渉学の知見と融合させ、日常生活からビジネス、国際関係に至るあらゆる交渉場面で応用可能な、より良い成果を得るための意思決定技術を示す実践的ガイドブック。単なる各篇の解説ではなく、『孫子』全体の体系性に沿って交渉学の理論と実践を当...

本書は、古代中国の兵法書『孫子』の戦略思想を、現代の交渉学の知見と融合させ、日常生活からビジネス、国際関係に至るあらゆる交渉場面で応用可能な、より良い成果を得るための意思決定技術を示す実践的ガイドブック。単なる各篇の解説ではなく、『孫子』全体の体系性に沿って交渉学の理論と実践を当てはめ、現代に活かすことを試みる。 交渉とは、通常は相反する利害を持つ者同士が、より良い成果を目指して話し合いで意思決定するプロセスであり、親子間のやり取りのような日常的な場面にも存在する普遍的な行為。 交渉には二つの次元がある。一つは基本的な「分配型交渉」で、限られたパイを奪い合うゼロサムゲーム。もう一つは「統合型交渉」で、互いの立場だけでなくその裏にある真の利害(関心)を探り、新たな価値を創造することでWin-Winを目指す。本書はこちらを重視する。 『孫子』が説く戦争の勝敗を左右する「五事」(主、将、天地、法、衆)や「七計」は、交渉力の源泉としても応用可能。交渉主体の判断力、担当者の能力、交渉環境、ルール、関係者の支持などが重要となる。特に、君主が将帥に権限を委ねるべきとした『孫子』の教えは、状況が絶えず変化し「詭道」(だまし合い)の要素も含む交渉において、担当者への裁量権と柔軟な対応の重要性を示唆する。 『孫子』の根本原則「戦わずして勝つ」は、交渉においても重要。無用な対立や共倒れになるような破壊的交渉を避け、相互の利益を創造することを目指すべきである。 『孫子』各篇の教えも交渉に応用できる。「計篇」は事前の情報収集・分析と勝算の見極め、「作戦篇」はコスト意識と早期決着(状況に応じた長期戦も視野)、「謀攻篇」は知略による解決、「形篇」は交渉前の有利な状況作り、「勢篇」は交渉の流れ(勢い)の活用、「虚実篇」は相手の意表を突く主導権掌握、「軍争篇」は対立下での有利な立ち回り、「九変篇」は状況に応じた柔軟性(将の五危にも注意)、「行軍篇」は相手の状況を読む洞察力(心理戦術含む)、「地形篇」は交渉環境の影響力、「九地篇」は窮地での対応、「用間篇」は情報収集の極めて高い重要性(五間の活用)を教える。 交渉は人間関係であり、対立があっても相手を尊重し、人間的な温もりが求められる。怒りは分配型では有効な場合もあるが、統合型では障害となることが多い。人間は本能的に不公平を嫌うため(最後通牒ゲーム)、公平性の確保が重要。優れた聞き手となり、関係構築、情報収集、信頼獲得に努めるべき。人間は必ずしも合理的に判断せず、直感に頼る点も考慮する。 具体的な交渉戦術として、アンカリング(先手提示)、フレーミング(認識誘導)、デッドライン(期限設定)、コンティンジェンシー契約(条件付合意)、沈黙戦術、瀬戸際戦術、おとり戦術などが紹介される。 ハーバード大の「3D交渉」概念も重要。第一次元は交渉テーブルでの戦術、第二次元はWin-Winを目指す交渉設計、第三次元は交渉の場を離れた環境設定(BATNA強化、関係者調整、マルチフロント交渉)である。また、レベルI(席上交渉)とレベルII(国内・内部関係者との交渉)の連携も考慮する。 絶対的な成功法則はなく、状況判断と変化への応用力が鍵となる。文化による交渉スタイルの違いもあり、日本人の協調性は統合型交渉では有利に働く可能性がある。本書は交渉学、意思決定論、ゲーム理論、リーダーシップ論、情報戦略などの知見も取り入れ、読者の総合的な交渉力向上を目指す。

Posted by ブクログ