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天皇問答
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天皇問答
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商品レビュー
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20世紀の総力戦に取材した小説を多く発表してきた小説家と、近代天皇制とメディアとのかかわりを粘り強く追いかけて来た政治学者との対談本。新書という媒体的な制約もあって、基本的な知識の確認に多くのページが費やされているが、大正天皇の振る舞いを「大正流」として取り出したり、徳川時代の...
20世紀の総力戦に取材した小説を多く発表してきた小説家と、近代天皇制とメディアとのかかわりを粘り強く追いかけて来た政治学者との対談本。新書という媒体的な制約もあって、基本的な知識の確認に多くのページが費やされているが、大正天皇の振る舞いを「大正流」として取り出したり、徳川時代の身分差をめぐる人々の身ぶりと近代天皇制のそれとの連続性を問題化したりと、興味深い論点も提示されている。原武史が、近代天皇制を研究していて最も分からないのは、「なぜ民衆が天皇制を支持し続けたか」「いったい誰が宮中の儀礼を設計したのか」が分からないことだ、とコメントしていたことも印象に残った。原が構造的な女性差別性を提起することで、近年では絶滅危惧種(?)となった天皇制廃絶論に言及していることにも注目したい。 本書の中では、原が日経新聞記者時代、昭和天皇の癌の手術の際に遊軍的に宮内省詰めとなった際の経験についての記述が印象に残った。何一つ新しいニュースはないのに、「万が一」を考えて毎日深夜まで宮内庁記者クラブに詰めていなければならない。社の上層部もほんとうはどうでもいいと思っているのに、自社だけが「特ダネ」を逃すのは失態に当たると惰性で報道の準備を続けていることこそが、「王の身体が日本という国の時空間を支配している現実」を再生産している――。では、そのような天皇の権威は誰が・どんな理由で求めているのか?
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