商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 現代書館 |
発売年月日 | 2024/09/25 |
JAN | 9784768459669 |
- 書籍
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自立からの卒業
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自立からの卒業
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自称ひきこもり名人による三冊目の本。ユーモアのある勝山節は健在で、所々笑いながら読んだ。しかしこれまでの著書より思想が強く出ていると感じた。 書いてあるのは、「自立」についての考察、ひきこもりのポスト8050問題、ひきこもりエッセイ、現状のひきこもり支援の非難、といったところだ...
自称ひきこもり名人による三冊目の本。ユーモアのある勝山節は健在で、所々笑いながら読んだ。しかしこれまでの著書より思想が強く出ていると感じた。 書いてあるのは、「自立」についての考察、ひきこもりのポスト8050問題、ひきこもりエッセイ、現状のひきこもり支援の非難、といったところだろうか。いろんなところで書いた文章をまとめた本らしく、一冊の本としては統一感に欠けるところがある。 それでも本のタイトル通り、この本の中心となるテーマは「自立からの卒業」になるだろう。近頃は「自立」というと「自立とは依存先の分散である」なんてことが言われがちだが、この本にそんなことは書いてない。むしろ主張しているのはシンプルに「寄生せよ」だ。「寄生せよ」は「依存せよ」に置き換え可能かもしれないが、「分散させろ」みたいなことは一切書いていない。そこに潔さを感じた。ひきこもり支援の問題点を指摘した部分や、直接給付を主張した部分も、自立ではなく寄生だ!という主張と繋がっているように思う。 ここで主張している「寄生せよ」は狩猟採集民や原始共産社会の有り方に近い気がする。それらの社会では富を蓄えたり独占することは許されず、持たざる者に分配させる社会圧力がある。東南アジアやインドには、まだそのような部分が少し残っているらしいが、今の日本社会では受け入れにくいと思う。しかし、自分も含めて自立に依存し過ぎではないか?という疑いを持つ必要はありそうだ。 持つ者から持たざる者へ分配させる原動力の一要素として「後ろめたさ」があると思う。それは、足がない、手がない、目が見えない、といったわかりやすい欠損を認識した時に発生しやすいように思う。人間は視覚に頼っている部分が大きく、これらの欠損も視覚的に認識している。その点、「ひきこもり」は定義があいまいな上、視覚的に認識しにくい。それゆえ、持つ者が「後ろめたさ」を持ちにくく、分配も起こりにくいのかもしれない。 ただ、寄生するのも楽じゃない。著者は両親と険悪な状態のまま長年同居していたようだが、そのストレスは相当なものだろう。最悪の場合、警察沙汰の事案が発生してもおかしくない。そのストレスと「自立」するストレスだったら、「自立」するストレスの方がマシな気がする。 ポスト8050を描いた、親を看取った後の「親」という人間に対する見方が変わった話も印象的だった。ネガティブともポジティブとも言えない、言葉にしにくい感傷のようなものを感じた。この10年ほど、自分は親とコミュニケーションが断絶していた。しかしそろそろ、親と向き合わざるを得なくなっている。先は長くないだろう。親が亡くなった後、自分は何を思うのだろう。
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文章が面白すぎる。本当に長い間文学に親しんで、それを自分の中でゆっくり熟成させたんだなという印象。いつまでも自立させようとする支援勢力に抗ってほしい!
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