商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2024/08/26 |
JAN | 9784309031989 |
- 書籍
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沈黙の声
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沈黙の声
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商品レビュー
3.5
2件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
かの日、こんな見方をする面白い大人がおるもんだと感心したもんだ 遠藤周作は知らないけど、狐狸庵先生は高校生でもわかるほどに(内容はともかく)面白おかしく、時にバカバカしく、だけど人を貶めることはなく さすがは違いがわかる男 いまこそ、遠藤周作を読めるようになっているか
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図書館で借りたのでこの本の帯を知らなかったのですが、読み終わってブクログに登録した時、『作家は神の声を聴こうとした』という帯が付いていたのを知り驚きました。うまい表現をするな、と(笑)。 この本を手に取る人は 遠藤周作氏の小説が好きであったり、関心がある人だと思いますので、遠藤...
図書館で借りたのでこの本の帯を知らなかったのですが、読み終わってブクログに登録した時、『作家は神の声を聴こうとした』という帯が付いていたのを知り驚きました。うまい表現をするな、と(笑)。 この本を手に取る人は 遠藤周作氏の小説が好きであったり、関心がある人だと思いますので、遠藤氏を知らない方のために氏を手短に紹介すると、近現代の純文学史上、氏のキリストと文学というテーマはセンセーショナルであり、誰も踏み込めなかった領域を切り開いた作家です。 例えばキリシタン迫害時代の「踏み絵」。その踏み絵を踏まなければ自分は拷問されたり、処刑されたり、家族が殺されたりすると知った時、遠藤氏の視点は、踏み絵を踏まなかった強い意志の人ではなく、クリスチャンなのに踏み絵を踏んだ、弱い、卑怯な、意志薄弱な人にフォーカスしたのです。なぜイエスを裏切った 弱い人間の方に視点を置いたのか‥‥このエッセイを読むと、その心根を垣間見ることが出来ると思います。 そしてそのテーマは、第二の故郷とも言える留学先の“閉ざされた街、リヨン”での原体験にあったのだということも。 本書の第 Ⅰ 部「沈黙の声」は1957年、ユリイカに掲載された初期のエッセイです。エッセイというより、評論に近く少し難解かもしれません。でも『我々は善いことはできにくいが、悪の世界だけは堕ちれるだけ堕ちるのではないか』という考察は、キリシタン迫害時代の迫害者側、あるいは 第二次世界大戦のアウシュビッツでの大量殺戮、またほんの身近にいる、我が子を殺す母親など、けして狂人ではない普通の人の中の悪行を見つめていく氏の眼を感じます。 このエッセイに触れてひとつ乗り越えられたことは、長い間、読書してきて、私の理解の範疇を超える作家マルキ・ド・サドについても、あまりに猟奇的なというイメージから、深い洞察があった人ということを知れたのはとても意義深いことでした。 固い話ばかりではありません。第 Ⅱ 部からは、氏特有のユーモアや、味わい深いものや、頑固親父的なお話もあり、狐狸庵先生らしさが伺えます。今の時代では炎上しかねないものもあります。(笑) 私は遠藤氏が人気作家時代からテレビにもよく出ていて、コマーシャルにも登場したし、対談もよくしていたの知っています。友人もとても多いということも。本書の中でも「私は人見知りをしないので 」という 遠藤氏をとても羨ましく思うと同時に、作家というのは内向的な人が多いと思ったけれど 遠藤氏は明るく面白い人でした。 今生きてれば、この憂えた時代をなんというか‥是非にも聞いてみたいです。怒られてみたいです。 このエッセイの最後のページの1行はとてもとてもいいです。よくぞこの言葉で終わりにしてくれたと思いました。この本を編んだ人に感謝です。 内容的に遠藤周作ファンなら知ってることも多かったですが、今この時代に遠藤周作に関する新刊が読めることをとても嬉しく幸せに思います。
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