失われた古代文明 歴史に消えた40の民族

フィリップ・マティザック(著者), 安原和見(訳者)

• 販売会社／発売会社: 河出書房新社
• 発売年月日: 2024/06/27
• JAN: 9784309229225

商品レビュー

2024/09/13

最高に面白かった。分厚く、重たいので持ち歩くことができなかったが、最初から最後まで一気だった。多くの民族のエピソードを読み、知っている民族、知らない民族とあったが、全て興味深い。フン人に追い立てられた、ヴァンダル、西ゴート、東ゴート、さらにアングル・サクソン・ジュードなどのゲルマン人は単に逃げ惑っていたわけではなく、領土を獲得する欲をもち残酷に先住者を支配していった。
あまりに広くなっているので、全て覚える事はできないが、これからは辞典のようにページをめくっていきたい。

2024/08/17

古代メソポタミア文明期から西ローマ帝国滅亡までの時代に、
歴史の舞台に登場し消えていった40の民族についてを語る。
・はじめに 忘れられた世界をよみがえらせる
第1部 世界初の文明 前2700年～前1200年
　　アッカド人、アムル人、カナーン人、エラム人、
　　ヒッタイト人、ヒクソス人、海の民
第2部 アッシリアからアレクサンドロス大王」まで
　　　前1200年～前323年
　　イスラエルの失われた支族、アラム人、ペリシテ人、
　　ドーリア人、フリュギア人、イリュリア人、
　　リュディア人、シケロイ人、メディア人、カルデア人、
　　クシュ人、バクトリア人　　
第3部 ローマの登場 前753年～後235年
　　トラキア人、エペイロス人、サビニ人、サマリア人、
　　ガラマンデス人とヌミディア人、サルマティア人、
　　ナバテア人、ケルトイベリア人、ガラティア人、
　　アルウェルニ族、カトゥウェッラウニ族、
　　イケニ族、バタウィ族、ダキア人
第4部 西ローマの没落 235年～550年
　　アラン人、ヴァンダル人、西ゴート人、東ゴート人、
　　アラマン人、ジュート人、エフタル人
・エピローグ
参考文献、図版出典、索引有り。

それら40の民族について、その歩みと功績、その後と
“未来のこだま”を添えた物語。彼らは何処へ消えたのか？
史上初の帝国を築いたアッカド人。
アムル人のバビロン王によるハンムラビ法典。
ヒッタイト人の真の姿は先進技術での支配。
謎の海の民による嵐の如くの襲撃での文明崩壊。
イスラエル人の不俱戴天の敵、ペリシテ人。
ドーリア人は消えてもドーリア式建築で名を残す。
ミダス王を生んだフリュギア人と初の貨幣鋳造のリュディア人。
魔法と空中庭園で伝えられるカルデア人。
エジプトを支配したアフリカのクシュ人。
戦闘民族トラキア人はローマ皇帝とスパルタクスを生む。
ペトラを築いたナバテア人の衰退は自然環境の変化。
ブリタニアのイケニ族女王ボウディッカのローマへの怒りの反乱。
フン族の襲撃により放浪し、王国を築き、ローマを混乱させた、
アラン人、ヴァンダル人、西ゴート人、東ゴート人の顛末。
ブリトンにアングル人やサクソン人と共に移住し、
王国を築いたのに、忘れ去られてしまった、ジュート人って？
中央アジアに帝国を築いた「白フン」エフタル人の謎。
大動乱の時代の中で、生まれ、消滅した様々な民族。
盛者必衰の理のとおりのそれらの歴史物語は、興味深いものでした。
その地の民族との融合、追放、強制移住等、消えた理由は
異なるけれど、それでも世界史に痕跡を遺しているのだもの。
おかげで、フン人には興味惹かれたり、青銅器時代の
文明崩壊については、もっと知りたくなりました。
「B.C.1177ー古代グローバル文明の崩壊」を読んでみようかな。