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きみのまち 歩く、旅する、書く、えがく
2,200円
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | rn press/トランスビュー |
| 発売年月日 | 2024/06/06 |
| JAN | 9784910422176 |
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きみのまち 歩く、旅する、書く、えがく
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商品レビュー
3.8
6件のお客様レビュー
「正しくないことを面白がる、贅沢な時間だ」――。一枚のイラストが数ページの文章よりも雄弁に語りかけてくる、絵描きにしか見えていない世界の秘密に触れるような至福の読書体験でした。 私は今日マチ子さんの大ファンで画集も持っているのですが、初のエッセイ集である本作『きみのまち 歩く、...
「正しくないことを面白がる、贅沢な時間だ」――。一枚のイラストが数ページの文章よりも雄弁に語りかけてくる、絵描きにしか見えていない世界の秘密に触れるような至福の読書体験でした。 私は今日マチ子さんの大ファンで画集も持っているのですが、初のエッセイ集である本作『きみのまち 歩く、旅する、書く、えがく』も最高の一冊でした。ラフなのに繊細で、単色なのにカラフル、青春のきらめきがありながら大人の深みも同居している。あの独特な世界観がどうやって生み出されているのか、その思考の源泉を一緒に散歩しながら覗き見ているような感覚になる日記風のエッセイです。 読んでいて改めてハッとさせられたのは、「同じ景色を見ていても、絵描きさんには全く違う世界が見えているんだな」ということ。 例えば、写真で撮ってしまうと見落としてしまうようなシーンも、後から思い出して描くことで違った見え方になり、そこにフィクション的な作業を加えることで「より自分のものになっていく」というお話。スクエアの画面にたまに挟まれるコマ割りの最高な気持ちよさや、日常の風景にいないはずの「天使」があまりにも自然に溶け込んでいるイラストを見ていると、きっと今日マチ子さんの目には、本当に世界がこういうふうに見えているのだろうと確信させられます。 また、制作環境に関するエピソードもとても興味深く、彼女らしさが溢れていました。一度はロジカルに割り切ってフルデジタル化したものの、世間の「アナログ至上主義」的な空気を察してあまり公言しないようにしていたこと。そして結局、デジタルだけでは合わない部分があり、今はアナログとうまく使い分けていること。そんな試行錯誤のプロセスに、人間味やしなやかな感性が透けて見えて思わず微笑んでしまいました。 本作を読んで私が感じたのは、今日マチ子さんの場合、何ページにもわたる文章よりも「一枚のイラスト」の方が圧倒的に情報量が多く、ご本人の思いや気分が素直に伝わってくるような気がするということです。 もちろん、これは私個人の勝手な解釈であり、間違っているかもしれません。でも、それでいいのだと思わせてくれます。なぜなら、自分なりの解釈で世界を広げることこそが、彼女の言う『正しくないことを面白がる、贅沢な時間』そのものなのだから。 今日マチ子さんの温かくも不思議な視点を借りて、自分の暮らす街やいつかの旅先をもう一度歩いてみたくなる、そんな素晴らしい一冊です。
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日常や旅先の【 静かな 】風景が文章の中で流れるように描かれる。絵でも描かれる。 以前読んだ同じ著者の本でも、風景の切り取り方がうまくてこんな風に日常を見ることが出来たらよいなと思えたので、今回も期待通りの内容でよかった。 読んでみたい:ベン・モンゴメリ『グランマ・ゲイトウッド...
日常や旅先の【 静かな 】風景が文章の中で流れるように描かれる。絵でも描かれる。 以前読んだ同じ著者の本でも、風景の切り取り方がうまくてこんな風に日常を見ることが出来たらよいなと思えたので、今回も期待通りの内容でよかった。 読んでみたい:ベン・モンゴメリ『グランマ・ゲイトウッドのロングトレイル』 行ってみたい:伊勢のCuccagna 2(クッカーニャ・ドゥーエ)(p.84) ======== 台湾かき氷が日本で人気なように、日本風かき氷も台湾の人には珍しくて素敵な食べ物なのかもしれない。「これでもか!」とフルーツが盛られたサービス精神旺盛なかき氷に比べると、シロップしかかけていない日式かき氷は大変地味だ。一瞬で食べ終わってしまう。「これだけ?」と思われるんだろうなあ。はかない夢を風流と受け取って貰えたらいいな。(p.39) 桜の季節が過ぎて、日差しが暖かい。河原の石に腰掛けて一時間くらいぼんやりしていた。水の音をずっと聞いている。ツバメが飛びかう。たまに、蝶も通り過ぎていく。橋を渡っていく人は、4月だがもう日傘をさしていた。 旅はつい見るものを詰め込んでしまうけど、こういうなんでもない時間をたっぷり取れるのが一番贅沢だと思う。空白の時間。それも、予想していないところで。(p.88) 最も記憶に残ったのはつくばの街並みだった。計画的に作られた街なので、整然と集合住宅が並ぶ。大きな通り、公園、団地。駅から夕暮れの街を歩いて行く。5分ほどで住宅ゾーンに入る。均質で整理された風景だが、緑が多くて気持ちが良い。ともすれば冷たい印象を抱きながら計画都市だけど、ここでは重ねてきた年月が醸し出す温かみがある。子連れや学生も多く、活気がある。いいなあ。 私はビルなどの無機質な建物の絵を描くのが好きだ。夕日に照らされた団地の壁をずっと見ていた。背の高い街路樹の影が落ちていく。子供たちが帰って行く。梅雨の終わり頃、少し湿った初夏の空気だ。 もう誰もいない。風の音を聞きながら、美しくて広い街を歩いて帰った。(pp.93-94) 私にとっての幸せとは努力とは関係ないものばかりだ。この時間のこの日差しの角度が美しいとか、毎年顔を出す道ばたの草とか、ビルの裏のシルエットとか、そんなものばかりである。努力で得られたものは、幸せではなくて、ただの報酬ではないかしらん。 私はこういうなんでもない幸せを集めて、ほかの人に見せることおに喜びを感じている。おれが、SNSで一枚絵を発表しつづけている理由になる。コロナ禍の日記も、旅日記も、いつかは失われてしまう、どうってことのない風景の美しさをとどめておこうと思って制作してきた。(p.206)
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イラストレーター兼漫画家の初エッセイ。絵日記的なものはいくつか読んでいたけど、ようやく人となりが見えた感じ。イラストの世界観にピッタリな人でした。
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