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定命
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瀬戸内寂聴(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 小学館
発売年月日 2024/05/29
JAN 9784093891639

商品レビュー

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2024/06/27
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定命 著者:瀬戸内寂聴 発行:2024年6月3日 小学館 山荘まちの図書館、新刊コーナーでたまたま見かけた句集。えーっ、寂聴さんって、こんなに俳句が上手だったんだ、と俳句まったく素人ながらもひたすら感動。素晴らしい句集で、何度も何度も気分を新たに読み返してしまう。ところが、解説を読むと、寂聴さんは1961年に担当編集者に誘われて円地文子さんと俳句の会に行ったことがきっかけで、句会後の食事会にひかれるまま何度か参加したものの、上達せず、宗匠から「円地さんや瀬戸内くんのように、小説が売れている作家には、いい俳句は生まれないんだ」と断言されるに至り、それっきり句会はやめてしまった、とある。 気落ちすることが多かった晩年、入院中、死んだ後に句集を配りたいと秘書に相談、自費出版することになった。するとわくわくしはじめ、生命に生命に満ち溢れた顔に戻ったという。自費出版した句集は評判がよく、版を重ねた上に「星野立子賞」「桂信子賞」を受賞したという。 今回の句集は、秘書が寂聴さん死亡後に書斎から書き留められた句稿が、原稿用紙のすみ、ノート、切り抜き新聞の端、メモ用紙などから見つかり、それを句集にしたものであるという。 かつて、川柳の故・時実新子さんに仕事でお話を伺った際、俳句は絵画でいう静物画、川柳は人物画と理解すれば分かりやすい。季語がどうのなんて難しいこと考えず、楽しめといわれたことがある。この句集では、晩年の句らしく、老いた自身のことを直截に近い形で出しているものも多い。静物画とは、すこし違う気もした。しかし、さらりと、かつ、じんと深い俳句も実に多かった。 ざっと数えて178句。花、旅、恋、書く、孤独、出家、反戦・平和、追悼、生きる、ふるさと、というテーマというか、カテゴリーにくくられつつ編集されている。それぞれに素晴らしい句が出てくるのであるが、最初の句だけ紹介することを許してもらうことにして・・・ 山茱萸(さんしゅゆ)の高く黄なる塀の内 *山茱萸とは和名「ハルコガネバナ」という黄色い花を咲かせる小高木 晩年、外へ行くこともままならない日々が続いたのだろう。寂庵で思いに耽ることが多くなったことが想像できる。上記の句も、最後の「塀の内」がとても効いている。塀の内、寂庵に広がる寂聴ワールド、いや、宇宙がここからスタートする、そんな予感を漂わせながらページを開かせる句集なのである。 新書サイズ。購入し、持ち歩いて何度も読み返したくなる句集。

Posted by ブクログ

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