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「反・東大」の思想史 新潮選書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2024/05/22 |
JAN | 9784106039096 |
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「反・東大」の思想史
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「反・東大」の思想史
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東大を誇るもの。東大を誹るもの。 自らを卑しむもの。自らを尊ぶもの。 日露戦争の決着から、第二次世界大戦終戦までの、ほんの100年足らずの時間の中で、人々は、新学業秩序によって、時に喜び、時に悲しみ、それまでの暮らしとは大きく違う生活を余儀なくされ、望む望まざると関わらず、...
東大を誇るもの。東大を誹るもの。 自らを卑しむもの。自らを尊ぶもの。 日露戦争の決着から、第二次世界大戦終戦までの、ほんの100年足らずの時間の中で、人々は、新学業秩序によって、時に喜び、時に悲しみ、それまでの暮らしとは大きく違う生活を余儀なくされ、望む望まざると関わらず、大変に苦労してきたことが分かりました。 ですが、そんな中でも、決して、自分に不都合なものを否定するだけでなく、かつ自分が置かれた状況を悲観するでもなく、真実正直に、「共感の心」で生き、生涯を遂げた人もいたと記されていました。その名は、近藤正人(こんどうまさんど)さんと云うそうです。 本書と同じく新潮選書の中でお気に入りの本に、本居宣長『もののあはれ』と『日本の発見』先崎彰容 があります。あちらにおいても、時代に対応する現実的な学びの大切さを知りながらも、それでも日本人が本来持っていた、共感の気持ちを、道徳的・教養的・政治的なものに関わらない素直な感情を覚えていて欲しいと記されていました。東大秩序に飲み込まれた時代にあってなお、そのことを覚え続けていた東大生がいたことは大変に感銘を受けました。 なお、近藤正人さんにつきましては、「戦時中」「近藤正人」などのキーワードで検索すれば、彼の生い立ちを見ることができますので、興味がある方はぜひご覧ください。 また、P256〜P259の英語教育廃止論も興味深かったです。 ①日本の若者から膨大な時間を奪い、外国語翻訳作業ばかりをさせた結果、若者は勉強や知的向上心を失わせてしまっている可能性があること。 そうした時間以上に、日本人の精神的支柱を教える歴史教育や、それを元にした、戦争回避の具体的方法を見出す、優秀な若者を育てることが大切であるはずだと云うこと。 ②オックスフォードやケンブリッジが、日本語で合否を決めると云うことはあり得ない。しかし(当時の)現実には、日本の大学において、外国語によって合否が決められることは少なくないこと。※英語、ドイツ語、フランス語などで論文を書かせ、その内容によって合否を決めるというものが普遍的であったそうです。 外国のみ崇拝し、自らは卑屈に嗤うと云う様子は、なんとも居た堪れないどころか、現実に日本を守るために戦争に行っている若者たちのことを思えば、国土に留まり、安寧を約束されている教師や若者が、彼らを侮辱するかのようであり、なんともやるせない。是非とも改善したいとのこと。 ③そもそも西洋文化の象徴とされる英国(当時)は、植民地獲得に邁進していること。日本も満洲国を預かってはいるが、セオドアルーズベルトが日露戦争講和を図ってくれたことからも分かるように、日本の諸外国における、将、兵、捕虜の扱いは極めて人道的であったこと。そのことを鑑みれば、植民地獲得に邁進する英国式に習うことは、もうこれ以上はないのでないかと考えられる可能性。 といった旨は大変に興味深かったです。 筆者の尾原さんは、犬エイチケーと揶揄されるNHKに勤務されていたとのことで、読み始めるに辺り、結局は東大賛美であり、現在の軍・医・学複合体の秩序体制の重要性を訴えるだけなのではないか・・・と、正直、疑いながら読み進めておりました。 けれど、実際の内容は、公正に近いものがあったと思います。合理や秩序では説明がつかない、人の心の、「もののあはれ」な事柄も述べつつ、起きた出来事からどう次の出来事に転じていったのか___そうした説明が大変に分かりやすかったです。 個人の伝記や小説を見慣れている人には、ある時代の流れを追った小説感覚で楽しむこともできると思います。 みなさまに、こちらの本をお読みいただくお時間を頂戴させてもらえれば、幸いでございます。
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