薔薇のしげみ

間埜心響(著者)

• 販売会社／発売会社: 幻冬舎メディアコンサルティング/幻冬舎
• 発売年月日: 2024/05/17
• JAN: 9784344949812

商品レビュー

2024/07/04

Xで相互フォローしてくださっている、まのしおんさんの薔薇に関する物語の短編集です。

いつもお好きな映画や本、素敵な手料理などをポストされていらっしゃるしおんさんの小説初読みさせていただきました。

素敵な物語をありがとうございました。
私は、特に一番最初の『今宵、巣鴨の劇場で』という温かい物語がよかったです。

「今宵、巣鴨の劇場で」
菫子は高校時代からの付き合いの翔太に誘われて巣鴨の劇場で役者の征児に恋をしますが…。
征児と一時は付き合うことになりますが、征児は役者として成功し…。
最後はとても温かい気持ちになれるお話でした。

「モッコウバラの咲く頃に」
花蓮は幼い頃亡くなった祖母の家に咲いていたモッコウバラの傍に、他の人には見えない人（幽霊）がいるのが見えたことを祖母に言い当てられます。
大学生になった花蓮の友人の志乃もまた、同じ体質なのがわかり二人で、TV番組の「珍しくて突出した才能がある」人を探すオーディションに出場しますが…。
これはちょっとホラーっぽいお話でした。

「バラ色の人生」
薔薇を愛する母と娘の薔子（しょうこ）のお互いを想う気持ちのすれ違いの話。
超短編。

「薔薇のしげみ」
乃恵美には二歳年上の姉藻奈美がいて、藻奈美は結婚してフラワーアレンジメントの教室を開き幸せな家庭を築いていました。そんな姉と比べられることが嫌いな乃恵美が今、最も大切なのは不倫中の峰岸との関係でしたが…。
姉と不倫中の男性の妻への嫉妬に狂った女性の心中。

「始まりの物語」
その国の王は、王になる為に、実の兄と生涯の友を殺してしまいました。
そして王は隣国を制圧します。
そこへ美しい行き倒れの娘が現れ王はその娘の身元を調べさせますが…。
わずか50ページに記された、国と国、王と王妃の壮大なファンタジー。

2024/06/23

薔薇をモチーフにした5篇を収録した短編集。どれも作品も棘を秘めた奥深い作品集でした。遠回り過ぎる関係性が素敵な「今宵、巣鴨の劇場で」と、他の作品とは異なる雰囲気のファンタジー「始まりの物語」が良かった。

2024/05/26

薔薇をテーマに綴られた5篇の短編集。
美しさだけでない、妖艶さ、憎悪、愛…
あなたの薔薇は、どんなイメージですか？

私のイメージでは、美しさと優雅さが薔薇のイメージ。
が、それだけでない薔薇の顔が浮かぶ。
薔薇に棘があることを忘れてた。
チクリと刺さる棘が、どの作品にも感じられます。
上手い！

間埜先生の作品、前回の『月光組曲』も拝読しました。
その中に出てくる「月ノ石町」が不思議な街として、前回に引き続き今回も登場。
この月ノ石町、ぜひシリーズ化してみて頂きたい！！