死んだ山田と教室

金子玲介(著者)

• 販売会社／発売会社: 講談社
• 発売年月日: 2024/05/15
• JAN: 9784065348314

商品レビュー

2024/11/05

2年E組、クラスの人気者だった山田が死んだ。
クラスメイトが悲しむ中、教室のスピーカーから山田の声が聞こえてきた。
第65回メフィスト賞受賞。

男子校でも男子校でなくてもなぜだか懐かしい。
バカで何でもない会話が本当に楽しい。
中盤これからどうなっていくのかと思ったけど、前半と後半のテイストがずいぶん変わってきますね。変わっていくクラスメイトを冷たく感じるけど、これが普通の反応なんだろうなとも思う。
和久津、本当にいい奴だなぁ…　彼の姿に目頭が熱くなる。
何気ない言動にすごく救われることあるんだよね

2024/11/02

夏休み中の8/29クラスの人気者の山田が事故で亡くなる。
文化部とも運動部とも、陰キャと呼ばれるクラスメイトにも人気者だった山田が亡くなったことに意気消沈とするホームルームで、スピーカーから山田の声が聞こえるようになる。

頭のいい人のギャグセンの高い会話で、読んでいて面白かった。
公式の動画で一部の展開を知っていたからこそ、こうしてくだらない会話をしているのが切なく思えた。
ずっとこの会話続いてくれと願わずにはいられなかった。

不老不死の状態で置いていかれる山田は、ひたすらしんどいだろうな。山田と話すために頑張ってきた和久津にも、きつい言葉を投げてしまうのも分かるけど、これで二人の友情にヒビが入ってしまったらどうしようと気が気でなかった。

カメラアイがないのに轢かれた車のナンバーが分かったこと、伏線もしっかりあって、ウィットに富んだ会話以外にも魅力が多い一冊だった。
ただ読み終わった後は分かってても切ないな。

2024/11/01

　夏休みがそろそろ終わる頃、クラスの人気者の山田が交通事故で死んだ。悲しみ一色のクラスに聞こえてきた山田の声。山田がスピーカーに憑依したらしいのだ。と、なんともありえない始まりであったが、男子校の様子が、息子の学校の様子を見ているようで、バカバカしくもかわいく感じられた。
　友達との絆は、成長していくにつれ変化していく。更に深くなったり、疎遠になったり。スピーカーになった山田は、身体もないし、成長もしない。クラスのみんなが進級しても、卒業しても、成人しても。同じクラスに入れた頃はバカ話もできたが、進級、卒業する毎に、スピーカー山田が話す相手が居なくなる。誰とも話すこともなく過ごす日々は、とても寂しく辛いだろう。
そんな中、和久津だけは、山田が寂しい思いをしないようにと、弁護士になる夢を諦めて、教師になる。採用するまでは、とても苦労して時間がかかったが。相手が亡くなってるのに、こんなにも相手のことを思ってくれる友情、凄いですね。そういう親友だから、山田は最後の願いを切り出したのでしょう。
　ラストは前半のバカバカしさからは、想像してなかったのですが、涙してしまいました。