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ある晴れたXデイに カシュニッツ短編傑作選

マリー・ルイーゼ・カシュニッツ(著者), 酒寄進一(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 東京創元社
発売年月日 2024/04/30
JAN 9784488011369

ある晴れたXデイに

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2024/05/30

滅亡の日を憂いでいる彼女の日常に溢れる幸福と悲哀… カシュニッツ作品集第二弾 #ある晴れたXデイに ■きっと読みたくなるレビュー ドイツ生まれで、戦後1940-60年代に小説や脚本を手掛けたカシュニッツの短編集です。ミステリーではありませんが、人間の深い部分を描いた作品集とのこ...

滅亡の日を憂いでいる彼女の日常に溢れる幸福と悲哀… カシュニッツ作品集第二弾 #ある晴れたXデイに ■きっと読みたくなるレビュー ドイツ生まれで、戦後1940-60年代に小説や脚本を手掛けたカシュニッツの短編集です。ミステリーではありませんが、人間の深い部分を描いた作品集とのことで、気になっていた一冊です。 どの作品も何かしらの背景を抱えつつ、人間は家族関係を切り取って表現している。幻想的な世界観ではあるものの、心情描写は芯を突いた深い部分を感じることができる作品ばかり。いくつかお気に入りの作品をご紹介します。 ●雪解け 夫婦の物語。夫が自宅に帰ると、妻は外を警戒している様子で… 人生を共に歩んできた二人から漏れ出す会話。贖罪よりも失望の念が痛々しい。短いお話なのに永遠にも感じてしまうのは何故だろうか。 ●太った子 自宅で子供たちに本を貸していた作家の物語、ある日太った女の子が本を借りに来て… 人間の静かな醜さが光る作品。読んでるといやな気分になるんだけど、自分自身も変わらないと気づかされる。作品全体から感じられる得体のしれない怖さが好き。 ●火中の足 痛みや感情が人とは違った女性の物語、日記形式で綴られる。 本作もやたら現実的で辛い気持ちになる。周りの人の優しさが徐々に痛くなってきて、読み終わると虚しさが広がる。彼女には幸せになって欲しい。 ●幸せでいっぱい 行方不明になっている子を探す女性の物語。夫からは既に亡くなっていると諭されるが。 人を思いやる幸せな話、そして丁寧な語り口でひたむきな主人公。でも、怖い。 ●作家 書けなくなった作家とその妻の物語、彼は転職しようとするが… 人生を共に生きている夫婦という関係性を温かく描いていて幸せに包まれる。色んな苦労があるけど、お互いに支え合って暮らしているのが伝わってきました。 ●脱走兵 戦争で逃げ出した兵隊とその妻の物語。絶望と旅立ちの狭間を描いた作品で、愛がヒシヒシと感じられる。 ●地滑り 街を巡りながら住むか決めかねていた夫婦の物語。 何かをきっかけに、これまでの夫婦関係や人生を振り返ることってあるよなぁ。人生が終わりに近づいたとき、こんな風に思う日がくるのかしら。 ●ある晴れたXデイに 主婦の手記、滅亡の日を憂いでいる彼女の日常を描いた作品。 疫病や戦争を憂う気持ちが伝わってくる。たとえどんな日であっても、いつもの一日と同じく過ごすことが家族にとって一番の幸せですよね。 ■ぜっさん推しポイント 人生を長く生きていると、辛いことや悲しいこともある。それでも人は生きていかねばならない。そのためには、愛する人と手を取り合いながら、希望を見つけていくのではないでしょうか。 そんな人々の素直さと静かさを描いたバラエティに富んだ作品群。素敵な時間をいただけたことに感謝したいです。

Posted by ブクログ

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