ねずみくんからのおくりもの ねずみくんの絵本

なかえよしを(著者), 上野紀子(絵)

• 販売会社／発売会社: ポプラ社
• 発売年月日: 2024/05/09
• JAN: 9784591181690

商品レビュー

2024/06/15

　なかえよしを(中江嘉男)、上野紀子夫妻による、ねずみくんシリーズ41作目は、決まった型がある故の予想できる楽しさと、最後にそれを上回る、ちょっとした意外性に垣間見えた二人の愛情が微笑ましいという、要するに、いつも通りの展開による安定した面白さです。

　今回は、明日ねみちゃんに渡すまで内緒にしておきたかった、ねずみくんが用意した贈り物について、たまたま｢いたずらビムくん｣に見付かってしまい、仕方なく｢ヒミツだよ｣と念を押しつつも打ち明けてしまう、人の良いねずみくん。

　その後、ビムくんは絶対誰にも言わないぞと思いながらも、出会ったぞうさんに｢ねずみくんが　あした　ねみちゃんに　おくりものを　するんだって　でも　ヒミツだよ！｣と、早速言ってどうするんだよ！　と思ってしまったが、これは予想通りで、ここからシリーズお馴染みの繰り返しの楽しさを堪能できます。

　そして今回は、それが段々と背の低い動物になっていく展開には理由があって、ついには、彼女にそれを言ってしまう彼もどうかと思ったが、それを陰から見ていたビムくんの｢みんな　ダメだなぁ　おしゃべりで｣には、あんたが言わなきゃこうならなかったんだよと、思わず突っ込みたくなりつつも、それを聞いた彼女の反応は悪くなさそうで・・・。

　まあ色々とあったけれども、最後は二人の共通点をお互いに再確認できたことで、何があろうとも決して揺るぎない仲の良さを実感できたことには、上野さんが御逝去された後もこのシリーズを続けている、なかのさんの思いとも共通したものを感じられたようで、この読後感の良さは、そのまま愛の素晴らしさとも思えそうです。

2024/05/27

あれっ？ねずみくんシリーズ新刊！？
でも確か上野紀子さん……（2019年ご逝去）、と思っていたら、なかえさんがこれまでのシリーズから絵をピックアップしてお話をつけて編まれた新刊だそう。あ、なるほど。

ストーリーは思わずクスリと笑っちゃうよくある話。ヒミツって本人の知らないところで漏れ広がっちゃうものですよね。ねみちゃんへのプレゼントはどうなるのかと思っていたら思いあったゆえの展開に。それでどうするのかなと思ったら…。「こころはおそろい」というほっこりする結末。
上野さんもお空できっとこの新刊刊行を喜ばれているのではないでしょうか。