商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文学通信 |
発売年月日 | 2024/04/06 |
JAN | 9784867660393 |
- 書籍
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デジタル時代の児童の読解力
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デジタル時代の児童の読解力
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商品レビュー
3.5
2件のお客様レビュー
紙のテストとデジタルのテストで読解に差が生じるか、2020年~2023年に5つの小学校(うち1校は台湾)で合計約1,300名の児童を調査した結果をまとめた本書。 フラットな目線でまとめられていて、参考になりました。 ・紙とデジタルの正答率に有意差なし ・まず紙で読み、次にデジタ...
紙のテストとデジタルのテストで読解に差が生じるか、2020年~2023年に5つの小学校(うち1校は台湾)で合計約1,300名の児童を調査した結果をまとめた本書。 フラットな目線でまとめられていて、参考になりました。 ・紙とデジタルの正答率に有意差なし ・まず紙で読み、次にデジタルの順で読むのが、逆の順よりも解答スピードが上がる ・紙志向の子の点数が高いが、高学年においては従来型の紙中心の教育が行われてきており、紙での学習に適応した子が好成績をおさめているということかもしれない ・普段の読書習慣による有意差が認められることから、読書経験を積んだ高学年の子で、読解力が高いほど紙志向が強くなる傾向がある ・デジタル志向の子は点数が低いが、デジタル機器への関心の高さが読解への集中を阻害している可能性がある ・低学年では、デジタルで書いたり消したりといった行為によって、読解の時間が奪われる可能性がある 全国学力テストがデジタル化されるということで、タイムリーな関心事でした。 これから大人になる子どもたちにとって、デジタルでの読解がいっそう当たり前の体験になっていくでしょう。 紙からデジタルへの移行期を過ごす子どもたちには、機器に振り回されることなく国語力を身につけていってもらいたいなと願います。
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難波氏を中心とする科研費(基盤B)グループによる成果報告書。小学校の児童を対象に行われた「紙」「デジタル」双方での読解力調査とその分析から得られた知見がコンパクトにまとめられている。 「紙」「デジタル」の比較を、学習者の意識や志向性まで含め、空中戦ではないかたちで議論してい...
難波氏を中心とする科研費(基盤B)グループによる成果報告書。小学校の児童を対象に行われた「紙」「デジタル」双方での読解力調査とその分析から得られた知見がコンパクトにまとめられている。 「紙」「デジタル」の比較を、学習者の意識や志向性まで含め、空中戦ではないかたちで議論していこうとするスタンスは勉強になった。実際に、いくつか興味深い知見も報告されている。「紙かデジタルか」というメディア特性によって読解の結果に有意な差は見られないこと。高学年の児童の場合、デジタルの方が紙よりも読解力調査の点数が高かったこと。また、低学年の児童の場合、デジタル志向の強い児童の方が点数が低かったこと。こうした結果は、紙とデジタルを排他的ではなく、相補的に教育の中で活用していく必要性を示唆するものと言えるだろう。 一方で、メディア特性自体が調査に影響を与えている可能性も指摘されている。デジタルの場合、メディアとしての機器自体に関心を向けている児童が読解から離れてしまっていること、また、そもそも高学年の児童は紙ベースの教育に「慣れて」いることも考慮されるべきだろう。個人的な疑問は、第2章の「深く読むことについての理論的整理」と、実際に行われた調査とのかかわりがいまひとつ見えにくかったこと。「読む」とはどういう行為なのかについては、国語教育学だけでなく、文学研究・文化研究、メディア研究の側からも批判的な問題提起が必要だろう。
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