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波打ちぎわの物を探しに
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波打ちぎわの物を探しに

三品輝起(著者)

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波打ちぎわの物を探しに

1,980

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 晶文社
発売年月日 2024/01/25
JAN 9784794974020

波打ちぎわの物を探しに

¥1,980

商品レビュー

4.7

4件のお客様レビュー

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2024/08/24

言葉の使い回しが繊細で好き 雑貨屋の、「雑」という文字が、そもそも分類した時のその他にあたる意味を指すってのが興味深い。 メルカリやアマゾン登場以降の物の消費について触れてるあたりの文章が好きだった。 ファッションもゴスロリも突き詰めれば何かになりきる、模倣するという観点で...

言葉の使い回しが繊細で好き 雑貨屋の、「雑」という文字が、そもそも分類した時のその他にあたる意味を指すってのが興味深い。 メルカリやアマゾン登場以降の物の消費について触れてるあたりの文章が好きだった。 ファッションもゴスロリも突き詰めれば何かになりきる、模倣するという観点では、とどのつまり同じプレイ、ごっこ遊びだみたいな話しが記憶に残ってる

Posted by ブクログ

2024/04/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 鋭すぎるかつ超絶新鮮な視点で雑貨をとらえた『すべての雑貨』『雑貨の終わり』を書いた著者による新作ということで読んだ。あいかわらず鋭い視点のオンパレードで読む手が止まらなかった。過去二作に比べると皮肉成分が減少している印象で比較的優しい物言いが多かった。日々なんとなくやり過ごしている、見過ごしていることの言語化が本当に見事すぎて読む前後で世界の見え方が変わる最高な読書体験だった。  雑誌の連載と書き下ろしで構成されており雑貨を起点として色々な事象について考察したエッセイが収載されている。冒頭から模倣とプレイというテーマで始まり、最近モヤモヤしていたことがスパッと表現されており膝を打った。模倣自体に嫌悪は感じないが、その模倣の先で「プレイ」や「〇〇ごっこ」となってしまった途端にチープに見えてしまう。こういった塩梅の難しいラインの話がたくさん載っているからたまらない。キーワードとしては断片化がある。テクノロジーの進歩により、あらゆるものが断片化された状況において文脈は存在せず、そして必要もされなくなってくる。断片化されたものは「雑貨」「クリエイター」などといった一つの言葉に集約されていく。その状況を憂うというよりも冷静に見つめている。全体に抑制されたトーンである点が特徴的だった。  メルカリがもたらした所有の感覚の変化もめちゃくちゃよく分かる内容だった。自分の周りのものを売れるかどうかでジャッジしたり買うときにメルカリのことを想起する。つまり「メルカリで買えば安く買えるか?」もしくは「ここで買ってメルカリでリセールできるか?」といったことが無意識に頭をよぎっている。持っているようで持っていないという所有のアンビバレンスを指摘されたことで意識するようになった。あとメディア論もあり、ピンチョンの豊かな想像力と陰謀論者の荒唐無稽な主張をダブらせる語り口はとても興味深かった。  過去作品に比べて著者本人に関する語りが増えており全体に柔らかい印象を抱かせている。Instagramと格闘している話はチャーミングだし終盤のお客さんとの占いにまつわる話は小説的な展開含めてThat’s lifeな内容で胸に沁みた。優れたブックガイドとしても機能しており各章で紹介される本がどれも読みたくなるものばかり。そして本を読むことに関する話もあり、これまた切り口が新鮮かつエッセイを超えた論考レベルになっており興味深かった。特に以前から気になっているアリ・スミスの紹介はかなり惹かれたので早々に読みたい。

Posted by ブクログ

2024/04/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

西荻の雑貨屋店主さんのエッセイ、三冊目。今回は「雑貨化」した物たちのみならず、同じようにインターネット社会の中で急速に世界を覆いつくしたデザイナー思考や、本の文化とビジネスの話、昔のバイト先の話など、雑貨以外の話もけっこうあってそれが面白かった。相変わらず不勉強な私には話の中で出てくる人物や文化史は大体初耳でへーっ、ふーんと読んでいくのだが、ありがちな知識をひけらかすようないやらしさは全く感じない。文章自体もあっさり乾いた感じでちょっと皮肉っぽくて、それでいて嫌味は全然ないのは著者の人柄の良さなんだろうなとしみじみ思った。何気ない日常から文化の深い話へ、映画や本の話、そしてお客さんとの会話へ、とすべて滑らかにつながっていくのがすごい。そう、ほんとうはすべて、いや大体かもしれないけど、つながっているのだな、と考えさせられる。 一番最後にあって、小説みたいに始まる「橋を渡る」が好きだ。 「信じるか、信じないか。それはおなじ建物のおなじ回廊を、それぞれ逆方向にたどっているだけなのかもしれないと思った」 運命か、偶然かといえば、私は著者とは違って運命を信じる方だ。それでも読んでいると、確かにおなじ回廊をたどっているのがわかる気がした。 信じるにせよ、信じないにせよ、恐れているのはきっとおなじことなのだ。自分のコントロールできないものに翻弄されることじゃないだろうか?その怖さをどう落ち着かせるかが、「逆方向」になっていて、でもやっぱり、おなじ回廊にいるのだ。元常連Yさんが、自分らしく人生を全うすることを願う。

Posted by ブクログ