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政治と政治学のあいだ 政治学者、衆議院選挙をかく闘えり
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政治と政治学のあいだ 政治学者、衆議院選挙をかく闘えり

大井赤亥(著者)

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政治と政治学のあいだ 政治学者、衆議院選挙をかく闘えり

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 青土社
発売年月日 2023/12/26
JAN 9784791776160

政治と政治学のあいだ

¥2,420

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2024/07/17

著者は東京大学で博士号を取った政治学者。 タイトルの「政治と政治学あいだ」にあるよう、政治を理論として捉える身から、政治に身を置くべく2021年故郷の広島から、立憲民主党で出馬。 しかしガチガチの保守王国で惨敗している。 その意味、理論と実際の違いを肌で感じつつ、日本での政治に必...

著者は東京大学で博士号を取った政治学者。 タイトルの「政治と政治学あいだ」にあるよう、政治を理論として捉える身から、政治に身を置くべく2021年故郷の広島から、立憲民主党で出馬。 しかしガチガチの保守王国で惨敗している。 その意味、理論と実際の違いを肌で感じつつ、日本での政治に必要なことは何かを私たちに提示してくれる。 構成は、①1993年以降の日本政治を掴む認識枠組を示した現代日本政治論 ②2021年衆議院選挙を候補者として駆け抜けた自身の経験記 ③これからの日本政治のヴィジョンを展望した試論 これらはいずれも、政治と政治学のあいだ、すなわち現実と理論との中間領域における思索から紡がれている。各項では、それらが生み出された背景や自身の問題意識が示されている。 55年体制は言わずと知れた「保守」と「革新」の政治的均衡であるが、死語となって久しい。彼は1993年以降の日本政治の選択肢は「保守・旧革新・改革」の三極にまとめられ、この三極構造は政策的布置と力関係において、第二次安倍政権期にいたるまで大きく変わっていないことから、「1993年体制」と言う。①では、これまでの日本の政治の選択肢を整理し、課題と展望が考察される。 ②の選挙の内実は、知らない世界が垣間見えてかなり面白い。(惨敗しているので、申し訳ない言い方だけど) これを読むと、やはり政治って頭の中の話じゃないんだなと思う。地元に根付く義理と人情か、タレントなどちょっと有名になれば、誰だってなれるだな。これが我々有権者の身の丈だろうが、劣化していくのも仕方がないかな。 ③では、斎藤幸平氏の「人新世の資本論」を取り上げ、エッジの効いた問題提起のあまり、あたかも「穏健な政治改良」と「ラディカルな社会変革」とが両立しないもの、二者択一のごとく提示される点について、その問題点を挙げていることに共感を覚えた。 また、自身が身を置く「文化左翼」、つまり研究室でマイノリティに関する様々な講義や文献読解に没頭しながら、現実社会を改善する地味で退屈な調整や交渉からは退却し、絶望を習い癖としながら自分たちの国を傍観者のように眺めているインテリは、現実の政治よりも文化の政治を優先させ、社会的正義にかなうように民主主義の制度が創り直されるかもしれないという、まさにそのような考え方をばかにする。そうして彼らは希望よりも知識を優先させるのであるとし、その帰結として前トランプ大統領の当選に至ったと言う視点も面白い。 「グリーン・ニューディール」と「脱成長コミュニズム」、「穏健な政治改良」と「ラディカルな社会変革」、「コールアウト・カルチャー」や「キャンセル・カルチャー」とアイデンティティ政治の関係性など読みどころが多く、この方を応援したくなりました。

Posted by ブクログ

2024/05/11

自分とも歳の近い気鋭の政治学者でありながら「黄昏を待ちきれなかった梟」として、2021年の衆院選で広島2区から出馬し落選した著者による現代日本政治に関する論考と衆院選の戦記。 1993年以降の日本政治を掴む認識枠組(フレームワーク)、すなわち「保守・旧革新・改革」の三極構造からな...

自分とも歳の近い気鋭の政治学者でありながら「黄昏を待ちきれなかった梟」として、2021年の衆院選で広島2区から出馬し落選した著者による現代日本政治に関する論考と衆院選の戦記。 1993年以降の日本政治を掴む認識枠組(フレームワーク)、すなわち「保守・旧革新・改革」の三極構造からなる「1993年体制」を示した現代日本政治論、2021年衆院選の候補者としての試行錯誤を記録した経験記、これからの日本政治のヴィジョンを展望した試論という3部構成となっている。 1993年体制に関する議論や、政治は「悪さ加減の選択」という言葉の再考、「革新」・アイデンティティ政治・脱成長コミュニズムという今後の日本政治のビジョンの批判的検討、いずれも納得性が高く、興味深く読んだが、とりわけ第Ⅱ部の著者の衆院選経験記が臨場感があり、めちゃくちゃ面白かった。政治家が有権者と直接接触し、肌感覚の生の声を聞くという点での「どぶ板選挙」の重要性の指摘や、「身を切る改革」を求める有権者の分厚さ、個人の支援者や連合などの支援団体との距離の取り方のたいへんさなど、興味深かった。 著者が政治に対してとても誠実な姿勢を持っていることは、本書を読んでよく伝わってきた。また、理想と現実の狭間でバランスをとり、着実に現実を改善していこうというような著者スタンスにはかなり共感するものがあった。地元の選挙区で著者が立候補していたのなら、ぜひ応援したくなりそうである。

Posted by ブクログ

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