半貴石の女たち

魚住陽子(著者)

• 販売会社／発売会社: 駒草出版
• 発売年月日: 2023/12/19
• JAN: 9784909646729

商品レビュー

2024/05/06

離婚を経験した達子が、婦人服メーカーから派遣されていたデパート勤めを辞めた際、これといった特技もキャリアもないことを心配した元同僚が勧めてくれたのがアクセサリー作りだった。
その元同僚は、デパートで培った営業手腕と離婚訴訟で勝ち取った慰謝料を元手にセレクトショップを始め、達子はその店の服に合わせたアクセサリーやセミオーダーのジュエリーを作るのが主な仕事だ。

静かに流れる情景は、56歳の達子にあっているのだろう。
けっして熱く激しくはないが、ゆっくりと時は過ぎてゆく。
それは動かない半貴石を題材にしているからなのかと。

彼女の周りで起こる死や彼女自身の心身の不調なども年齢だけではない気がしてしまうのは、半貴石という石の持つ何かだろうか？とか考えてしまう。

半貴石の妖しい輝きや尊い輝きや瞬い輝きなど、その石の持つ力なども感じながら思わず宝石に夢中になっていた頃を思いだした。