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シルマリルの物語 最新版(上) 評論社文庫
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シルマリルの物語 最新版(上) 評論社文庫

J.R.R.トールキン(著者), クリストファー・トールキン(編者), 田中明子(訳者)

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シルマリルの物語 最新版(上) 評論社文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 評論社
発売年月日 2023/11/20
JAN 9784566023963

シルマリルの物語 最新版(上)

¥1,320

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2026/07/21
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『指輪物語』が、トールキンの「イングランドのための神話を創造したい」という構想から始まった世界であることは以前から知っていた。その源流に触れたいと思い、本書を手に取った。また、本書はトールキンが生前に完成させることができず、没後に息子クリストファー・トールキンが膨大な草稿を編纂して出版された。 本書では世界の創造から第一紀の終焉までが神話として語られ、イルーヴァタール、アイヌール、マイアール、エルフ、ドワーフ、人間など、多くの種族が登場する。『指輪物語』では巨悪として描かれるサウロンが、本作ではモルゴスの僕に過ぎないことからも、中つ国の歴史の壮大さを実感した。また、古くから伝承に存在していたエルフという存在を、独自の言語や歴史、文化を持つ一つの民族として再構築したトールキンの発想にも感心させられた。 一方で、この時代のエルフは思っていた以上に未熟で人間臭い存在として描かれていた。フェアノールの激情、シンゴルの欲望、トゥーリンの悲劇的な判断など、争いの原因はモルゴスだけでなく、エルフ自身の傲慢や執着にもある。『指輪物語』で賢者として描かれるエルフたちにも、このような長い歴史と数多くの失敗があったことは意外であり、非常に興味深かった。対照的に、ルーシエンやガラドリエルなどの女性たちは冷静で賢明な印象が強く、特にベレンとルーシエンの物語は本書の中でもひときわ心に残った。 三つのシルマリルが最後には天・地・海へと分かたれる結末や、ガンダルフの正体であるオローリンがマイアールの一員であることなど、『指輪物語』へと続く数々の伏線を知ることができたことも大きな収穫であった。人物や地名が非常に多く決して読みやすい作品ではないが、中つ国という世界の礎に触れられる、トールキンの創作の原点とも言える一冊であった。

Posted by ブクログ

2024/02/16

・J.R.R. トールキン「最新版 シルマリルの物語」(評論社文庫)を読んだ。「指輪物語」は読んでゐるが、こちらはまだであつた。この物語の翻訳は初出から既に50年近く経つてゐる。その間、新版、最新版と出た。単純に言へばこれが第3番目の訳といふことになる。これが出てゐるのを知らなか...

・J.R.R. トールキン「最新版 シルマリルの物語」(評論社文庫)を読んだ。「指輪物語」は読んでゐるが、こちらはまだであつた。この物語の翻訳は初出から既に50年近く経つてゐる。その間、新版、最新版と出た。単純に言へばこれが第3番目の訳といふことになる。これが出てゐるのを知らなかつたわけではないが、これを読まうといふ気にはなれずにゐた。それが去年の文庫本「最新版 指輪物語」の完結である。これでやつと読まうといふ気になつた。本書の帯に「唯一なる“神”エルによる天地創造の物語」とある。神話である。「『アイヌリンダレ』は、唯一なる神と天地創造の創世神話、『ヴァラクウェンタ』は、天使的諸力とも言える神々の話です。とっつきにくいところもあるかもしれませんが、これらの創世神話は、トールキンの手紙からもうかがえるように、作者が長年心を傾けてきた仕事なのです。」(田中明子「『新版』訳者あとがき」下335頁)この言のやうに、最初の2編は見事な神話である。以後はエルフの物語である。 ・「唯一なる神、エルがおられた。」と始まる。そして「エルは初めに、聖なる者たち、アイヌールを創り給うた。聖なる者たちは、エルの思いより生まれ、ほかのすべてのものが創られる以前に、エルと共にあった。(原文改行)エルは聖なる者たちに語り給い、音楽の主題をかれらに与え給うた。」(「アイヌリンダレ」83頁)この歌は、最初は「聖なる者たち一人一人の理解は、イルーヴァタールの御心のうち、各自の出で来った部分にしか及ば」(同前、エル=イルーヴァタールである。)なかつたが、やがてそれが二重 唱、三重唱になり、更に合唱になつていく。「耳を傾けて聞くにつれ、聖なる者たちの理解は深まり、ユニゾンとハーモニーはいや増していった。」(同前)そして、「イルーヴァタールはかれらに言われた。『すでに汝らに明かせし主題により、われは汝らが調べを合わせ、大いなる音楽を作らんことを望む。云々』」(同84頁)かうして「大いなる音楽が」奏されることになる。しかし物語の常として、かういふ時にはそれに逆らふ者が必ずゐる。それがメルコールであつた。メルコールは「アイヌール中最も力ある者であ」(下「語句解説および索引」381頁)り、「モルゴス」や「冥王」等の名で呼ばれてゐる悪の化身である。全編を通して善と悪、エルフ達とモルゴス一派の戦ひが描かれる。最後の「力の指輪と第三紀のこと」はその締めくくりと言はうか、「指輪物語」がごく端的に語られる。「小さい人のフロドは(中略)サウロンを物ともせず滅びの山に赴いて、指輪が造られた火の中に大いなる力の指輪を投じ、その結果、指輪は無に帰し、指輪の悪はすべて燃え尽きた。」(下332頁)勧善懲悪の壮大な物語をかくも短くまとめたのに対し、それ以前の神話時代は全24章、文庫本1冊以上になる。それぞれの時代の代表的な出来事を書いていけばかうなる。長命であることを除けば、エルフは極めて人間的である。悪はモルゴスの手下のサウロンが暗躍する。これもまた人間的である。人間はと言へ ば、初めは悪の側が多い。その後、エルフと交はつたりして、善に移る者も出てくる。「指輪物語」以前にかくも壮大なる世界があつたのかと思ふ。これをトールキンが創つた。しかもその言語、エルフ語も創つた。下巻の付録には索引もある。これは役に立つ。そして発音の注意(下348頁)とか固有名詞の語素(同372頁)であらうか、これも名前と比べてみるとおもしろい。いささか遅きに 失しはしたが、さすが人工の神話である、作者は言葉も創つてしまつた。おもしろい物語であつた。

Posted by ブクログ

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