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ミステリー・オーバードーズ
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ミステリー・オーバードーズ
¥814
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商品レビュー
3.8
8件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
「グルメ探偵が消えた」は特にこれといったトリックがあるわけでもない作品。”空腹と満腹が逆になる薬”というアイデアを膨らませるといつもの白井智之の魅力的な多重解決になりそう……だけど短編として提供されたってことはお焚き上げ的な意味なんだろうか。 「げろがげり、げりがげろ」は一番インパクトのある作品。口からうんこを出す、アナルでこんにゃくを食べる、のありえん光景が異常じゃなかった!の狂気は笑ってしまう。 特に、口の中に隠していたうんちを我慢できず吐き出すビジュアルは強烈で、読後も心に残り続けている。この作品が好きですと喧伝したくてもなかなかタイトルを口に出すのははばかれるのが玉に瑕。 「隣の部屋の女」は叙述トリック仕掛けてますよ感満載の挑戦的な語り口で、読者の想像する倫理観を作者が下回ることで勝利している。でもトリックとしては「思ったより作者の倫理観がない」ことしかないので、白井智之を既に知っているとあまり楽しめない。 「ちびまんとジャンボ」汚い。ひたすらビジュアルが汚い。でもここまで読んできた読者はおそらく既に汚物に対してゲシュタルト崩壊しているのであまり気にせず読めるのではないか。 「ディティクティブ・オーバードーズ」一転してビジュアル的には全然汚くない。むしろ綺麗まである。探偵集合という変なミステリ好きにはたまらないシチュエーションからさらに探偵たちが全員めちゃくちゃにキまってたら?という発想でドライブをかけていく。他では見たことがない名探偵たちの迷推理だけでもこんなんいくらあってもいいですよね!って感じなんだけど、そこからさらに、「推理の真偽を放置しながら」真相を消去法的に決定していく論理パズルの軽薄さは次世代を感じる。収録作中だと一番好きな作品。
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※このレビューにはネタバレを含みます
食をテーマにした5篇のミステリーである…のだが、食事前や食事中に読むと具合が悪くなるであろう。 とくに好きだったのは「グルメ探偵が消えた」と「隣の部屋の女」。このあたりはまだ上品で人にも勧めやすそう。 「げろがげり、げりがげろ」「ちびまんとジャンボ」は周りを彩る描写が最悪、「ディティクティブ・オーバードーズ」は途中の皆がラリるところといろりちゃんの名前がエグいという…。 「グルメ探偵が消えた」 途中までは普通のミステリ。最後に一気に落とされるのは壮観だった。このSFの設定でこんなひどいラストを…と思ってしまう。この主人公は恋人を守りきれないのではないかな。 「げろがげり、げりがげろ」 設定が全て汚すぎる笑!なのにあの綺麗なラストはずるい。 「隣の部屋の女」 正統系ミステリ。はじめの文で「何の」肉か記載されていなかったので嫌な予感はしたが…そうだよね… 「ちびまんとジャンボ」 ポップで汚すぎる!登場人物ふくめて汚そう。なんだよフナムシ早食いって。最後主人公が簡単に復讐する描写は笑ってしまった。 「ディティクティブ・オーバードーズ」 あの支離滅裂な文章はなかなか書けるモノではない。尚且つあの文が犯人を当てる手がかりになっているとはすごい。 自分は白井作品が本作で二作目だが、この突き抜けたえぐさとミステリーのバランスがハマる要因なのだろうな…人には勧められないが。
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”食”をテーマにした5つの短編集。と書くとお洒落な感じがするが、食べるものは人肉だったり吐瀉物だったり肛門から食べたり。「なんでこの設定でそういう展開を思い付くのか」謎の、いつも以上のエログロナンセンスな厭悪感満載の作品の数々ではあるが、「グルメ探偵が消えた」「隣の部屋の女」で見...
”食”をテーマにした5つの短編集。と書くとお洒落な感じがするが、食べるものは人肉だったり吐瀉物だったり肛門から食べたり。「なんでこの設定でそういう展開を思い付くのか」謎の、いつも以上のエログロナンセンスな厭悪感満載の作品の数々ではあるが、「グルメ探偵が消えた」「隣の部屋の女」で見せる俊逸な構成や展開、読ませる文章は、奇抜なテーマのせいで色物に思いがちな白井氏の圧倒的な才能があふれている。
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