商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 祥伝社 |
発売年月日 | 2023/08/01 |
JAN | 9784396116842 |
- 書籍
- 新書
アイヒマンと日本人
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アイヒマンと日本人
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商品レビュー
3.8
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『第二次大戦秘史』に次いで、作者と題名に惹かれて読む。アイヒマンの生い立ちから始まりナチスでのユダヤ人排除の活動が時系列で概説されている。上位の決定者ではなく冷酷で剛腕な忖度型官僚の姿である。内面の思考にはあまり触れず、仰々しい題名の割に平板で物足りない印象の作品である。 彼はド...
『第二次大戦秘史』に次いで、作者と題名に惹かれて読む。アイヒマンの生い立ちから始まりナチスでのユダヤ人排除の活動が時系列で概説されている。上位の決定者ではなく冷酷で剛腕な忖度型官僚の姿である。内面の思考にはあまり触れず、仰々しい題名の割に平板で物足りない印象の作品である。 彼はドイツ西部のゾーリンゲンで四男一女の長男として生まれ、10歳で母親に死なれ、リンツで再婚の母親と厳格で生真面目なプロテスタントの父と教会に通う普通の家庭で育つ。実技学校や専門学校を中退し仕事も続かないなか、オーストリアでナチス親衛隊の活動に生きる道を定める。 ナチスではヒムラー指揮下のハイドリッヒが本部長の保安局・情報機関に勤め、「人種及び移住本部」でユダヤ人問題の専門家になっていく。当初はヘルツルの『ユダヤ人国家』を読みシオニズムに共感し、ユダヤ人のパレスチナ移住の作業にあたる。「反ユダヤ法」以降ユダヤ人への弾圧は強くなり、彼もウイーンのロスチャイルド家の豪邸を根城にしてオーストリアやチェコのユダヤ人の国外移住や略奪を仕切り、私的には酒と女の乱脈生活を送る。「ユダヤ人移民中央事務局」の責任者になり、ユダヤ人を利用して排除を効率的に実行し評価を上げる。ポーランド併合後、ナチスの大々的なヨーロッパ侵攻に伴い、ユダヤ人の国外移住策が限界となり、「絶滅収容所」を作り大量に移送し殺害する。ヒムラーは当事者の罪悪感を減らすためシステム化し、組織的・計画的な移送や毒ガスによる大量瞬間殺害・埋葬の方式を確立する。1942年ハイドリッヒは国家元帥ゲーリングの意向で関係責任者15人を集め「ヴアンゼー会議」を開催し、ユダヤ人問題の最終的解決策として「東方への疎開=絶滅収容所への移送=大量虐殺」を国策として決定する。ユダヤ人1075万人を抹殺するホロコートである。 事務局で議事録を纏め中枢で推進するのがアイヒマンであった。 以後ポーランドや各地に「絶滅収容所」を作り、多くのユダヤ人を送り込み殺害した。ハイドリッヒは暗殺されるが、アイヒマンはフランス・ハンガリー・フィンランドなど大量虐殺に最後まで執心する。 ソ連とアメリカの侵攻によるナチスの敗戦で、アイヒマンは仲間に避けられながらも逃亡を続け、互助組織による地下ルート経由で南米アルゼンチンに脱出する。妻子を呼び寄せ隠れて暮らすところをモサド機関員に発見・逮捕されイスラエルに移送される。 裁判では「人道的観点からは有罪、服従の誓いに従って命令を遂行せざるをえなかった‥‥心のそこでは、自分に責任があるとは感じていません‥‥命令を忠実に遂行し義務を果たさなかったと誰かに非難されたことは一度もない」 「自分は命令に従っただけ‥‥(虐殺されたユダヤ人は)不幸な人だった」 などと答え、肝心なところははぐらかし、論点を鉄道移動の技術的問題にずらたりして責任回避の発言を繰り返し、最後まで反省・贖罪の言葉は聞けなかった。 死刑判決を受け、上告するも却下され、イスラエル大統領に恩赦の請願書を出し拒絶される。 1962年死刑が執行され56歳の生涯を閉じた。 遺灰は海に蒔いた。 裁判では、長老で構成する「ユダヤ人評議会」がリストを作り同族の虐殺に協力した(させられた)ことも暴かれた。 ハンナ・アーレントや犬飼道子・村松剛などの裁判傍聴記によれば「普通の男が忠実に命令に服従して、彼自身の組織内における保身と出世欲のために多くのユダヤ人を絶滅収容所に送り続けた」ということであった。 作者は日本人の特性に敷衍して警鐘を鳴らす。 自分は、西独ではこの裁判以降元ナチスの戦犯者や協力者への追及が厳しくなったこと、又今でもナチス互助組織が西独中心に世界規模で機能している実態について、初めて知ることであり意外であった。ナチスの犯罪は歴史的に既に総括されていたと勝手に思い込んでいた。日本もそうだが、戦時下での犯罪行為については、当事者は勿論として発令者の立場や役割の責任とその軽重は可能な限り厳正に裁くべきだと思う。目立たず自ら断罪した人も多い。社会の矜持であり、その後の復興再生への盤石な足場となるからである。 異常な状況下では誰もが命懸けで、義務や正義、利己や功利が複雑に錯綜し、人間性がギリギリ試される。自分を省みて問いかけが残る。 アイヒマンのような異常な「非人間的な戦犯者」に対しては、手続き上の齟齬を超えて人類として厳格に裁いていくことは当然であろう。
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アイヒマンを認識する様になったのは2013年の映画「ハンナ・アーレント」から(映画自体は観ていないのだが) 人道に対する罪が問われたアイヒマン裁判を認めるのならば、事後法という点で共通する平和に対する罪で裁かれたA級戦犯に関する極東軍事裁判も認めなければならない部分が出てくる。...
アイヒマンを認識する様になったのは2013年の映画「ハンナ・アーレント」から(映画自体は観ていないのだが) 人道に対する罪が問われたアイヒマン裁判を認めるのならば、事後法という点で共通する平和に対する罪で裁かれたA級戦犯に関する極東軍事裁判も認めなければならない部分が出てくる。事後法は受け入れ難い所があり、極東軍事裁判における平和に対する罪での有罪判決は不当だと思う。 もっとも、それ以外での罪で裁かれるべきだったと思うのでA級戦犯=完全無罪とは欠片も感じないのだが。日本人も加わって最終的な裁きを下す日が訪れれば良いのだが、難しいだろうなぁ…総体的な日本人にも期待しづらいし。 永遠的命題か。 くまざわ書店 武蔵小金井駅前店にて購入。
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人物伝的内容で、特に4章の逃亡から処刑までが興味深い。ただし、題名に関する部分は最後の2ページ程度なので、その辺は期待しない方がよい。
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