商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 日外アソシエーツ |
発売年月日 | 2023/07/21 |
JAN | 9784816929731 |
- 書籍
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日本図書館史概説 新版
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日本図書館史概説 新版
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図書館のヘビーユーザーでありながら、その歴史についてはあまりよく知らなかったので、図書館通史の教科書として読んだ。 著者による図書館史の時代区分は分かりやすい。貴族文庫時代(飛鳥、奈良、平安)、僧侶文庫時代(鎌倉、南北朝、室町)、武家文庫時代(江戸)、市民図書館時代(明治以降)。...
図書館のヘビーユーザーでありながら、その歴史についてはあまりよく知らなかったので、図書館通史の教科書として読んだ。 著者による図書館史の時代区分は分かりやすい。貴族文庫時代(飛鳥、奈良、平安)、僧侶文庫時代(鎌倉、南北朝、室町)、武家文庫時代(江戸)、市民図書館時代(明治以降)。 古代は百済からの論語と千字文が朝廷に献上されたあたりから始まり、律令制、天皇、貴族階級、僧侶の間の図書文化、大量の写経などが説明される。最初の”図書館”の設置は、大宝律令によれば、七省の一つである中務省の六寮の一つとして図書寮が置かれたというもの。宮廷の官人、貴族に所蔵する書籍の借覧を許したという。宮廷には文書類の保管のための文殿(ふどの)、平安朝になると、宮廷直属の文庫として校書殿や冷然院が置かれ、図書が蔵置されていたという。最初の公開図書館は石上宅嗣(いそのかみやかつぐ)の芸亭(うんてい)。 12世紀、さまざまな文庫が建てられ、そして寺院文庫へ。応仁の乱で失われたものも多いのだそうだ。鎌倉の武士階級の中には多くの蔵書を持つ者もあったが、鎌倉幕府滅亡時に兵火の中に滅んでいる。 武家文庫時代、天正遣欧少年使節が帰国の際、1590年に初めて西欧式の金属活字による印刷機を持ち帰った。切支丹版。豊臣秀吉の朝鮮出兵で、文禄の役後、朝鮮の活字印刷技術が持ち帰られる。ここから50年が「古活字版」。江戸後期から明治が「木活字、近代活字本」だ。もっとも、グーテンベルクより朝鮮の活字印刷はかなり早い。これはフランスの国立図書館に保存されていると聞いたことがある。 中世の図書文化は寺院と結びついていたが、江戸期に入り古活字版の開版とともに、宗教と結びついた聖なる事業から世俗的な事業に変わっていく。出版業の成立だ。 そして有料の貸本屋も出てくる。 明治以降はどうやら、図書館は政治に翻弄されている。自由民権運動に対する政府の攻撃、国民教化への傾斜。「善良の思想を伝播する図書の選択」など。図書館を国民の教化施設にしていこうとする文部省の政策に呼応するように、図書館の国策への積極的協力が行われる。この本が説明してくれるのは第二次大戦まで。 自由な本の選択、無料の借り出しができる現代では当たり前の図書館が市民の手に入るまでの長い歴史と紆余曲折。この自由を守っていかねばと改めて思う。
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