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時刻表昭和史 完全版 中公文庫
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時刻表昭和史 完全版 中公文庫

宮脇俊三(著者)

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時刻表昭和史 完全版 中公文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2023/06/22
JAN 9784122073821

時刻表昭和史 完全版

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商品レビュー

4.8

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2024/09/10
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数ある宮脇俊三の著作の中でも間違いなくベストの部類に入る作品に思う。と同時に、筆者の中では異色の部類に入る作品でもある。 昭和前期、戦前から戦後混乱期にかけての筆者の鉄道の思い出を当時の筆者の周りの出来事と絡めて描く。 昭和後期の主として国鉄を題材とした紀行作品で名を上げた宮脇の作品群の中では珍しい題材なのは確かだ。(一番異色なのは殺意の風景だとは思うが) この本を読む上では、そもそも宮脇は相当にいい家の坊ちゃんであるということを意識する必要がある。国会議員を務めた宮脇長吉の唯一残った男子で、渋谷に住み当時の東大を卒業している。そんな青年が、何を見て、感じながら成長していったか?というところが面白い。貴重な当時の世相を写す史料でもある。 いわゆる戦中のルポルタージュは悲惨なものが多いが、本書ではあまりそうしたものは感じさせず、むしろどこか長閑に思う描写すら存在する。 しかし、その背後には確実に死が存在する。学徒動員の噂や、卒業旅行の如き出陣を意識した中での遠出、山手線内でのまだ自分の家が焼けていないことの罪悪感など、忍び寄る破滅の匂いは濃厚だ。そしてそうした中で、内地で日常を過ごしていた人々の姿を本書では描いている。 全体として大変に面白いが、やはり終戦時のシーンは印象的。名文句の多い宮脇だが、「時は止っていたが汽車は走っていた」というこの一連の箇所を超えるものは無いように思う。宮脇自身、この先を書く気が失せてしまい元々はここで終わって出版されたことからも、終戦という出来事が当時の人々にどれだけ大きな出来事であったかを窺わせる。 正直なところここで終わっていた方が文学的には美しいと思うが、そこで終わらずきっちりと戦前の鉄道文化の本当の終戦は戦後混乱期にあった、と戦後混乱期までを書き上げたのが増補版(又は完全版)である。 史料として考えれば無論そちらの方がありがたい。ページ目一杯で文章が終わるところにまで気を配り、中公鬼の編集として知られた宮脇の几帳面さを感じさせるところだ。

Posted by ブクログ

2024/05/09

本編が発売したのははるか昔だが、完全版として ・戦前・戦中に加えて、戦後を増補 ・北杜夫との対談 と、鉄道の歴史を紐解く贅沢な文庫本だ。 著者は「鉄道無常(酒井 順子)」で初めて知った経緯があり、本作を読むこととなった。贅沢な子ども時代だから、知ることが出来た鉄道の状況だが、現...

本編が発売したのははるか昔だが、完全版として ・戦前・戦中に加えて、戦後を増補 ・北杜夫との対談 と、鉄道の歴史を紐解く贅沢な文庫本だ。 著者は「鉄道無常(酒井 順子)」で初めて知った経緯があり、本作を読むこととなった。贅沢な子ども時代だから、知ることが出来た鉄道の状況だが、現代には本当に貴重な資料物である。 戦争前後の過酷な交通事情を知ることで、改めてのんびり電車旅ができる幸せをかみしめたい。 鉄道ファンがいる限り、絶版にはならないと思うが、著者作をこれからじっくりと拝読していく。

Posted by ブクログ

2023/12/19

第二次大戦後70年を越え、その当時を生きた人々の生の声を聞く機会がいよいよ失われてきていますが、書籍であれば(多少の脚色は覚悟しつつも)それらに触れることができます。 この本の著者は大正の生まれ、戦前・戦中を学生として関東、そして疎開地の新潟で過ごし、山形で終戦の報を迎え、戦後は...

第二次大戦後70年を越え、その当時を生きた人々の生の声を聞く機会がいよいよ失われてきていますが、書籍であれば(多少の脚色は覚悟しつつも)それらに触れることができます。 この本の著者は大正の生まれ、戦前・戦中を学生として関東、そして疎開地の新潟で過ごし、山形で終戦の報を迎え、戦後は編集者、そして紀行作家として活躍された宮脇俊三さんです。 戦争関連の本といえばその悲惨さを伝えるためのものが多いですが、宮脇さんはひたすら電車に乗ること(時刻表を読むこと)に熱中しており、作中の東京大空襲の様子など臨場感にあふれながらも淡々と、そして時にはユーモアを交えながら語られるさまに悲壮感といったものはあまりありません。一方で、食料が不足していた日常など、当時の様子をまざまざと読者に知らしめる筆致は、さすが元編集者だと感じました。 戦争に巻き込まれる市井の人々の様子について、気負わずに知ることのできる良い本だと思います。ただし、鉄道に興味がないと読むのはしんどいかもしれません。

Posted by ブクログ

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