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鍼のち晴れ 大江戸かあるて 集英社文庫
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鍼のち晴れ 大江戸かあるて 集英社文庫

杉山大二郎(著者)

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鍼のち晴れ 大江戸かあるて 集英社文庫

814

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 集英社
発売年月日 2023/06/20
JAN 9784087445428

鍼のち晴れ

¥814

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2023/11/06
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弱い者を救う医者になりたいと鍼灸医を目指す駿という少年の成長を描くシリーズ二作目。 薬を処方しなければならない医者と違い、身一つで患者を助けられる鍼灸医ならば弱い者を救える医者になれるかもしれないと、志を持って江戸にでてきた駿。物乞い同然のナリで生まれ故郷の村に現れた梨庵という鍼灸医のことを心から慕い、また志半ばで死んだ幼馴染の涼、行方知れずの茜を思い勉学に励むというストーリー。 鍼灸医を育成する講習所で間市という、お金を払わない者は患者と見なさない、駿のなりたかった鍼灸医像とは正反対の鍼灸医の往診のお供をさせられてしまう。 間市という医者、なかなかに憎たらしいやつです。金があれば患者を診るがなければ診ないと突き放し、診療が終わればせっせとお遊びに通う、現代ならば十中八九炎上している医者なのですが。 正直、私は梨庵よりも間市のやり方の方に共感します。 物乞い同然で駿の村に流れ着いた梨庵も、守銭奴に見える間市も両極端ですが。 誰しも、誰かを助けたいと思うならば自分に余裕がないといけません。「すべての野良猫を救いたい」と思うあまりに多頭飼育崩壊し、劣悪な環境で収集がつかなくなった”愛護”活動家。貧困者を救いたいと思うあまり、貧困であるが故に無気力になってしまった人たちに激高し、志を忘れて貧困は自己責任だと考えを変えてしまう人。現代は、余裕がないのに社会問題に首を突っ込んでリソースを割き、何も出来ない自分に打ちひしがれて疲れてしまう人が多いように思います。 薬を処方せず、鍼と按摩、技術ひとつで病を治す医者は確かに立派です。しかし、誰もが梨庵のように物乞い同然の暮らしをできるでしょうか?そもそも梨庵も、駿と涼がおにぎりを分けてあげなければ死んでいました。名医であるのに飢えて死んでしまっては、救える者も救えません。 徐々に作中でも言及されますが、間市、いけすかないヤカラと見せかけて情はある模様。 他作品で恐縮ですが、ドラマ「チーム・バチスタの栄光」にて、名医と名高いバチスタ手術の名手が、自らの衰えによる医療ミスを隠蔽したときの主人公のセリフをうろ覚えながら思い出します。間違っているかもしれませんが…… 百人を救える名医一人がいるより、十人を救える医者が百人いた方が患者は安心なのだと。 梨庵の教えは気高いですが、非現実的です。駿が真に立派な鍼灸医となるには、間市のエッセンスも多少摂取しなければならないと感じます。 間市、正直読者ウケは悪いとは思うのですが(笑)これからも駿に影響を与えるポジションにいてほしいものです。 シリーズものとはいえ、区切りが悪いところで終わり肩透かしを食らった気がするのでマイナス一つですが、素晴らしい作品でした。続きが楽しみです。

Posted by ブクログ

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