商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2023/05/18 |
JAN | 9784166614103 |
- 書籍
- 新書
柄谷行人『力と交換様式』を読む
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柄谷行人『力と交換様式』を読む
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商品レビュー
3.7
9件のお客様レビュー
柄谷行人の原著を読んだ上で読むと、実に面白いし、よりよく理解できる。中でも興味深いのが東畑開人の解説なのだが、これだけで一つの書物になりそうなポテンシャルがあり、にわかには理解できない深みがある。ここをさらにふくらませた本を読みたいところだ。
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視点と発想の転換。その時々の偉人たちも精一杯生きていた。 0→1 を作り出すことは人生をすべて注ぐことになるかもしれない、事実から真実を解き明かす。
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社会システムを交換様式で体系化する『力と交換様式』について、有識者との対話、思想の解説が本著で掲載される。私は原典より先にこの解説書を読んだのだが、分かりやすいので、こうした順序で読むのも良いかも知れない。A贈与と返礼、B服従と保護、C貨幣による交換、D X(Aの高次元での回復...
社会システムを交換様式で体系化する『力と交換様式』について、有識者との対話、思想の解説が本著で掲載される。私は原典より先にこの解説書を読んだのだが、分かりやすいので、こうした順序で読むのも良いかも知れない。A贈与と返礼、B服従と保護、C貨幣による交換、D X(Aの高次元での回復)という4つの交換様式に分類することから、論説はスタートする。 ー 交換は本来見知らぬ他者との交換であり、それを成立させるには、交換を強制させるような力が必要であり、マルクスは、その力をフェティシズム(物神崇拝)と呼んだ。 分業は交換を前提としているが、国家の成立も、その保護に対する法の上での警察権への服従という観点では、これも交換の一形態だとする。更に、マルクスの言う物神とも異なる精神性、貸し借りの社会的紐帯を基礎とした儀礼、義務感のようなものが、贈与と返礼を成り立たせる。更に、柄谷は、コミュニケーションも言語の交換とした。確かに、褒め合いの現象はこれだろう。つまり、人間は交換し合う生き物だ。 よく分からないのは、Dの存在。交換様式DにおけるAの高次元での回復とは。人間の理性では構築できないが、必ず到来する。資本主義社会のあとに出現する。無力化したAが復活、回帰する、そして反復脅迫的に向こうから来るのだという。はて。 ネットで調べても、自論が飛び交う感じだ。オードリータンも分かっていないと、柄谷は指摘する。ここまで来ると、柄谷の説明責任という気もするが、ここに読み解く、解釈する楽しさもある。本著は他に史的唯物論と資本論の構造的解説など興味深い内容も多々含むが、私の感想はこの解釈に絞ってみる。 Aの回復という前提は、既にAが毀損している状態を示す。つまり貨幣を媒介せず担保のない「贈り合い」が消えた世界だ。資本主義が行き過ぎれば、全て信用が数値化され、貨幣に限らず、究極のCとなる。また、Aは低次元だとも言っている。これは一対一の閉じた関係だからだ。閉じた関係性を開くために、集団で信仰する貨幣を要したのだから、Aの未熟さは交換範囲が狭いことだと解釈できる。ならば高次元とは、Aのように貨幣を介さず、しかし、万人と交換が成立する事。どうしても、シェアリングエコノミーとか、ベーシックインカムとか、ボランティアみたいな事が想像される。 何となく、もう一踏ん張り。衣食住の生産がAIや機械により満たされた後、人間の仕事は遊びとの境界線が曖昧になる。そこでは賞賛が報酬となる。つまり、商品の交換ではなく人間は「賞賛を交換」し出す。「いいね」がいつの間に社会に組み込まれた。答えは「いいね」、ブクログはDの先取り。これこそ高次元の回復だ、と分かったような事を述べてみる。うむ、原典を読んでみよう。
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