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長屋から始まる新しい物語 住まいと暮らしとまちづくりの実験 文化とまちづくり叢書
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長屋から始まる新しい物語 住まいと暮らしとまちづくりの実験 文化とまちづくり叢書

藤田忍(著者)

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長屋から始まる新しい物語 住まいと暮らしとまちづくりの実験 文化とまちづくり叢書

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 水曜社
発売年月日 2023/02/28
JAN 9784880655406

長屋から始まる新しい物語

¥1,870

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2023/08/24
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長屋から始まる新しい物語 ~住まいと暮らしとまちづくりの実験 著者:藤田忍 発行:2023年3月7日 水曜社 *藤田忍=大阪市立大学名誉教授、大阪公立大学大学院生活科学研究科客員教授、学術博士、一級建築士、専門はまちづくり *小池志保子(6章分担執筆)=大阪公立大学生活科学研究科教授、建築科、博士 本書46ページに、2008年時点で大阪市内に長屋が約7万戸、そのうち1950年以前に建築されたのが1万6600戸あったと書かれている。150ページには、数年前まで6千数百棟、1万数千戸といわれていた大阪型近代長屋(戦前長屋)は、現在1万戸を切る事態となっている、とある。この数字を見て、多いと感じるか少ないと感じるか。僕は、46ページの段階では、そんなにあるのかと感じた。ところが、終わり近くの150ページの数字を見た時には、こんなに少ないのかと危機感を感じた。本書を読み進むうち、自分自身の長屋に対する考え方が間違っていたことに気づいたためだろう。 戦争で焼けなかった、名古屋の小さくて古い、ボロ長屋に生まれ育った身としては、長屋という住まいはあくまで〝名残〟であって、遠からず消えていくもの、うちは貧乏だからここに住んでいるだけ、と思っていた。大人になってからも考えはそんなに変わらず、残るとしても、懐古趣味的な、SLみたいな存在として残っているだけだろうと思っていた。最近は若い人が憧れるという話を聞いても、実際に住んでみたらしんどさが分かるはず、と思っていた。僕にとって長屋は、日当たりも風通しも悪く、音は筒抜け、痩せ細った柱と土壁の隙間からは、隣家の灯りすら入ってくる、そんなネガティブな面しか見えない住まいだった。 子供の頃は、一部が崩れた土壁に紙を貼る母親の姿を見て、こんな家、早くもっと壊れて住めなくなればいいのに、そしたら引っ越せる、とまで思っていた。ところが、本書の始まり近くに書かれている、長屋に住むあるユニットのテーマにはっとなった。「こわれたら、はじまり」。2人は大阪市北区の長屋に住む「長屋人」で、絵、詞、曲、ピアノ、トロンボーンのアート系ユニット。こわれていくのは死ぬのではなく、再生していくことだと説明する。 そうか、ボロボロになった長屋を、お金がない、勿体ない、まだ使える、だからなんとか修繕して、もう少し使おう、ではないわけである。修繕して住むことを決めたら、それは単純に「もたせる」のではなく、再生であり、新たな長屋が出来上がっていくということなのである。目が醒めてきた。 著者は、長屋を残すには、単に建物を残すだけではなく、長屋の暮らし(ぶり)を残すことが必要だと繰り返す。つまり、建物と人である、と。 この本では、まず、長屋に暮らす人たち、それは単純に住んでいるだけではなく、(住民自らも)長屋を再生させつつ暮らしている「長屋人」たちを紹介。次に、大阪市内の長屋について、またその再生について、事例をたっぷり紹介。もちろん、成功事例ばかり。ここが一番の肝ではあるが、大阪の長屋は10数年前まで本当にやばく、全滅する運命にあったといっても過言ではなかった。ところが、どっぷり昭和町の主舞台となる寺西長屋の再生をきっかけに、長屋はやり方次第で残せるのだということが長屋の所有者(大家さん)が理解しはじめ、では残そうという動きになっていった。中には、マンションへの建て替えにサインする直前までいった長屋もあった。 ここで、長屋を残すための強力な力、いわば正義の味方のような存在になったのが、著者を含めた旧大阪市立大学の専門家たちだった。彼らの存在なしに、今日の、そして未来の大阪長屋の姿はなかった。それは、親から相続してどうしたものかと悩んでいる大家さんにとって、公立大学の先生が味方になってくれるというのだから、心強いし、なにより信頼できる。 いつも読書メモを書くと、「読んだ気になる」と言われてしまうので、今回はここまでにして、ぜひ、この本を読んで、一体、大阪長屋にどんな奇跡のようなことが起きて再生がなされているのか、知ってほしい。 実は本書は、藤田忍先生よりご恵贈いただきました。ありがとうございました。本当に素晴らしい本です。

Posted by ブクログ

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