1,800円以上の注文で送料無料

対訳でたのしむ百万
  • 新品
  • 書籍
  • 書籍

対訳でたのしむ百万

竹本幹夫(著者)

追加する に追加する

対訳でたのしむ百万

770

獲得ポイント7P

在庫あり

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 檜書店
発売年月日 2023/02/24
JAN 9784827911145

対訳でたのしむ百万

¥770

商品レビュー

0

1件のお客様レビュー

レビューを投稿

2024/07/25

素人が学ぶ能。 能には狂女物というジャンルがあります(『隅田川』、『班女』など)。「狂」とは言いますが、現代、連想するような病的なものではなく、子供や恋人など恋しい人に会えず、心乱れる様子を見せる演目群です。 物狂いの女は、大勢の人々の前で舞いを舞い、自分の恋しい人がどのような...

素人が学ぶ能。 能には狂女物というジャンルがあります(『隅田川』、『班女』など)。「狂」とは言いますが、現代、連想するような病的なものではなく、子供や恋人など恋しい人に会えず、心乱れる様子を見せる演目群です。 物狂いの女は、大勢の人々の前で舞いを舞い、自分の恋しい人がどのような人で、自分とその人はどのような関係かを語り、自分のつらさを訴えます。これは一種の芸能であって、多くの人が心を揺さぶられるわけですね。現在のように通信手段が発達していたわけでもない時代、恋しい人と別れたきり、どこへいったのかもわからないという思いをした人はそれなりにいたことでしょう。自分や自分の身近な人の経験と重ね合わせて涙する人も多かったことでしょう。 物狂いの女はそうして旅を続けては、多くの人の前で舞います。これはまた、恋しい人を探す手段でもあったと思われます。今ならSNSなどもありますが、昔ではそういうわけにもいかない。庶民が人を探す手段はいわゆる口コミということになるでしょう。 とすれば、多くの人が集まるところで評判になるような芸を披露すれば、恋しい人が見つかるチャンスは増したことでしょう。 能の狂女物に出てくるように、物狂いの女が舞いを披露するということがそれほど頻繁にあったのかどうかはよくわからないのですが、いくつもこうした演目があることを思えば、それに類したことはあったのではないでしょうか。 さて、本作の「百万」は、女物狂いの名前で、彼女は子供を探しています。 舞台は嵯峨の清凉寺。現在では廃れてしまいましたが、かつては大念仏会が行われていました。大勢で集まって阿弥陀仏や釈迦牟尼仏の名を唱える法会です。百万はそこに現れて、仏の名を唱えながら、子供に会えるようにと祈っています。そこに実は百万が探し求める子供が、偶然、見物客の一人として訪れていました。さぁ、二人は会うことができるのでしょうか。 観阿弥の原曲「嵯峨物狂」を世阿弥が改作したもの。 原曲では母親は無名だったのですが、世阿弥は実在の女芸人の名前「百万」を母親の名としました。作中では百万は念仏の音頭取りを得意としています。 謡の中に念仏を取り込んだり、地獄節曲舞と呼ばれる地獄めぐりの説話由来の舞を取り込んだり、物語の舞台となっている念仏会にふさわしい造りになっています。 主人公の百万という名は、京都の別の場所の地名、百万遍を思い出させます。百万遍の由来もまた、百万遍にある知恩寺で念仏を何度も唱えたことによります。直接の関係があるかどうかはわかりませんが、念仏を何度も唱える女にふさわしい名前のようにも思います。 縁結びのご利益があるといわれるお寺や神社は各地にありますが、大きな意味では、人探しも縁結びの一種かも。人と人とを結ぶには、多くの人が集う場所であることが大事なポイントだったような気もします。行事や縁日で人が集まり、思わぬ人に会えた、ああ、ご利益のあるお寺だ、神社だ、なんてことも結構あったのかも。

Posted by ブクログ

関連商品

同じジャンルのおすすめ商品

最近チェックした商品