商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | キネマ旬報社 |
発売年月日 | 2023/01/31 |
JAN | 9784873764849 |
- 書籍
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映画の木漏れ日
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映画の木漏れ日
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商品レビュー
3.5
4件のお客様レビュー
もう30年も前、田舎の高校生だったころに、長らく川本三郎さんがキネマ旬報に連載していた評論を、次に見る映画のリストに蓄えて楽しみにしていた。 その川本さんは1944年生まれなので、もう80歳近いお年。さらっと淡白な評論が多く、それもまた味がある。豊富な映画鑑賞歴と読書歴をもとに、...
もう30年も前、田舎の高校生だったころに、長らく川本三郎さんがキネマ旬報に連載していた評論を、次に見る映画のリストに蓄えて楽しみにしていた。 その川本さんは1944年生まれなので、もう80歳近いお年。さらっと淡白な評論が多く、それもまた味がある。豊富な映画鑑賞歴と読書歴をもとに、さまざまに想起された作品への言及も多く、参考になったり、少々脱線しすぎでぼやけたようにも感じたり。 でも、味わいを感じながら心地よく読み進めることができる。 少々(いや、かなり?)困惑するのは、女優シアーシャ・ローナンへの偏愛ぶり。少女がすきなのはわかっていたものの、彼女を「植物族乙女科」と呼んで崇めているロリコンぶりは、女性から見ると少々気持ちがよろしくない。 いや、私も『つぐない』の少女時代の彼女は大好きなんですが。
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映画から想起される音楽や読書、言葉、文学、幸せ、戦争、女優などについて語る。とにかくすごいたくさんの映画や本を読んでいるひとなんだというのが伝わる。 「させていただきます」と「お疲れさま」のこと 映画で「させていただきいます」が使われたのは、昭和12年公開の成瀬巳喜男監督の「女...
映画から想起される音楽や読書、言葉、文学、幸せ、戦争、女優などについて語る。とにかくすごいたくさんの映画や本を読んでいるひとなんだというのが伝わる。 「させていただきます」と「お疲れさま」のこと 映画で「させていただきいます」が使われたのは、昭和12年公開の成瀬巳喜男監督の「女人哀愁」。ヒロインの入江たか子は山の手の金持ちの息子に嫁ぐ。女中にもう夜遅いから寝なさいといたわる。すると女中は「それではお先に休ませていただきます」という。 また昭和31年、同じく成瀬巳喜男監督「流れる」で、墨田川沿いの芸者置屋で女中として働く役の田中絹代が2回「させていただきます」と言っている。 どちらも女中がつかっているが、川村氏は「させていただく」は山の手の「女中」の言葉から始まったのではないかと推測する。そして朝日新聞昭和28年3月7日付のコラムで、下町生まれの谷崎潤一郎は、ナニナニさせていただきます、という言葉を非常にいやがるんです、という仏文学者の辰野隆の文が載っていると紹介する。 「お疲れ様」はもともとは水商売の言葉だという。それがいつか一般に広がった。映画の中では昭和31年の「死の十字路」で、ラジオ番組に出演したヒロインが仕事仲間から「お疲れ様」と言われる。だが昭和30年代のテレビ番組「事件記者」では一度も使われていない。当時は「ご苦労さま」が普通だった。 「キネマ旬報」の連載「映画を見ればわかること」をテーマ別にまとめたもの。2017-10月上旬号~2022.4.下旬号。ほかに「ユリイカ」、「ぴあ」アプリ版、「映画論叢」(酷暑刊行会)、映画パンフレットへの起稿も加えた。 2023.2.13初版第1刷 図書館
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前著『映画の中にある如く』に続いて(https://booklog.jp/users/yaj1102/archives/1/4873764580)。 というより、今年(2023)の春、新刊として平積みされていた本書を見て、既に20年以上続く連載の書籍なので、せめて前著から読んでおこうとしたもの。前著が、2013-2017年の間の公開作品を中心に語っているのに対し、本書はそれ以降、2017~2022年が対象期間だ。前著より、鑑賞済作品が多くて、読んでいても楽しかった。 この間の特徴はコロナ禍もあるが、ネット配信の台頭だろう。 「Netflix作品「シカゴ7裁判」(20年)を吉祥寺のアップリンクで見ることが出来た」と、ひょっとしたら著者とニアミスしていたかもしれない。 同じくNetflix作品『アイリッシュマン』も観に来てた可能性が高いな。 またこの間に鬼籍に入られた映画人の話も(これは前著でも同じだが)。本書では、なにより大林宣彦監督だろう。 「立ち返ることの出来る故郷を持っている表現者は強い。 大江健三郎の四国、中上健次の紀州、あるいは野路邦陽の九州の諫早、現代なら桜木紫乃の北海道。それぞれの土地に根ざした力強い作品を書いている。 大林宣彦にとっての故郷は言うまでもなく広島県の尾道。」 と、最後まで反戦にこだわった大林監督のことを讃えていた。 冒頭の『クレッシェンド 音楽の架け橋』からはじまり、『ウェストサイド・ストーリー』、『博士と狂人』、『スリー・ビルボード』、『ダンケルク』、『シカゴ7裁判』、『否定と肯定』、『僕たちは希望という名の列車に乗った』、『コリーニ事件』、『ベンタゴン・ペーパーズ』、『MINAMATA』、『ストーリー・オブ・マイライフ』、『ノマドランド』、『ドライブ・マイ・カー』、『アイリッシュマン』、『ROMA』と、ざっと並べただけでも観た映画が大半、観ようとおもって観そこなった作品がチラホラと、読んでいても楽しかった。
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