カラスは言った

渡辺優(著者)

• 販売会社／発売会社: 中央公論新社
• 発売年月日: 2022/11/21
• JAN: 9784120055966

商品レビュー

2024/10/10

朝起きたらベランダの手すりにカラスが止まっていて、話しかけられた。という物語の始まり。
猫に誘われて本を救う冒険に出る話みたいのかと思ったら、全然違った。これも冒険ではあるか。

カラスは苦手なのだけど、これを読んでいたら少し愛着が湧いてきたような。
…でもやっぱり、ご飯食べてる自分の脇でリュックから顔出してるカラスを想像したら、怖いな。

今から20年後くらいの近未来の設定らしいけど、別に現代でも問題ないような気がする。若干ITが進化しているし、リニアも走っているけれど。
海上コロニーが検討されている、とあって、どうやらクラゲアイランドの少し前の話みたい。著者は、この世界を基本に物語を作っているのかな。

ぼんやり生きている青年が非日常の出来事を体験して、自分の性格を再発見したり、これまでと違う行動をしてみたり、というストーリー。
誰でも好きになってしまう丸森くんを、私もちょっと好きになっていたので、楽しく読めた。
ココちゃんについて、もう少し描写があってもよかったかも。

2024/08/24

カラスがある日いきなり話しかけてきます。そう聞くとどんな世界観なんや？？ってなるかと思うんですけど真面目な話です。ニュースを見て当事者のこと考えないで自分の正義押し付けちゃうことって多分みんなあるんじゃないかな。部外者、無関係じゃなくって、関係って築いていきたい。はっとさせられました。

2024/04/02

この作品は主人公に感情移入しやすく読んでいる方もカラスに愛着が湧くようにできていると思う。
そんな中で読み進めていきながら最後のシーンを読むとどこか切ない感情になってしまう。
「わたしは、なにものかになりたかった」
意外とみんな同じなのかもしれないと思った作品だった。