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少年時代
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ラビンドラナート・タゴール(著者), 大西正幸(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 めこん
発売年月日 2022/09/28
JAN 9784839603328

少年時代

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2022/11/14

アジアで初めてノーベル文学賞を受賞した19世紀生まれのベンガル出身の詩人、タゴールが自らの幼少期を振り返った回想録。 全体の3分の1くらいが訳者によるタゴール家の解説に割かれている。タゴールの代表作『ギタンジャリ』もまだ読んでないし、ベンガルについても何も知らないので解説を先...

アジアで初めてノーベル文学賞を受賞した19世紀生まれのベンガル出身の詩人、タゴールが自らの幼少期を振り返った回想録。 全体の3分の1くらいが訳者によるタゴール家の解説に割かれている。タゴールの代表作『ギタンジャリ』もまだ読んでないし、ベンガルについても何も知らないので解説を先に読んだほうがいいかも……と思いつつ、まずは順番どおり本篇から。 案の定、地名やら植物名、料理名など馴染みのない固有名詞ばかりだが、丁寧に訳注が付されている。特に噛みスパイス(?)や素朴なお菓子の説明に唆られる。熱した糖蜜で揚げたお菓子なんて、実際食べればインドらしくヤバいくらい甘いんだろうけど、文字で読むととても美味しそうに思えてしまう。クルフィーなど私も食べたことのあるものもでてくるが、何しろここに書かれているのは100年以上前の思い出だから、きっと全然違う味だったのだろう。 回想は時系列ではなく連想によって語られ、タゴールは自分の詩情を育んだなかでも、ごくごくさりげない日常の風景を取りだして書きとめようとしているように思える。執筆当時80歳だったと本文にあり、記憶がたやすく脳のなかで継ぎ接ぎされてしまうことを悟ってもいる。過去と現在のギャップにも静かな諦観が漂っており、「昔の時代は、王子様。(略) 今の時代は、商売人のお坊っちゃま」という段落は印象的だった。その天衣無縫の連想術と、日本語訳からも伝わるリズムに身を任せ、水鏡に映る像のように揺蕩う100年以上前の暮らしの風景を楽しんだ。 とはいえ、イメージが掴みきれなかったところも多く、詳細な解説がとてもありがたい。植民地支配と革命の時代を描いたインド映画『RRR』を見たばかりなので、タゴール家と西洋文化との両義的な関係はとても面白かった。東インド会社と組んで財を成したと思ったら(祖父)、後継ぎはナショナリズムに傾倒して宗教家になり(父)、その息子はインド人初の英領インドの高等文官になり(兄)、末弟はアジア初のノーベル文学賞詩人というすごい家。女性解放運動への関わりも深かったという(でも1ケタ歳の嫁をもらうのは止められなかったんだね……)。 タゴールは自分の幼少期にはすでに家が落ちぶれていたと強調しているけど、地域ではやはり目立つ家で噂のまとになっていたことがエピソードの端々から窺える。哲学者や文学者、音楽家が数多く出入りする環境で育ち、姉や兄たちの生き様に学ぶ精神は、知識人階層の空気感が伝わってくる点でギンズブルグ『ある家族の会話』にも通じるところがあった。

Posted by ブクログ

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