商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 日本評論社 |
発売年月日 | 2022/10/12 |
JAN | 9784535564121 |
- 書籍
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実践トラウマインフォームドケア
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実践トラウマインフォームドケア
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人生も折り返しを過ぎた年齢である私の膝は、ぼこぼこである。 子ども時代、あまりにしょっちゅう転んでいたからだ。 傷自体はまったく大したことがなくて。 擦りむいて、まぁせいぜい血が出るくらいのものだったのだが。 治らないうちにまた転ぶ、を繰り返す中で気づけば不可逆的にぼこぼこの...
人生も折り返しを過ぎた年齢である私の膝は、ぼこぼこである。 子ども時代、あまりにしょっちゅう転んでいたからだ。 傷自体はまったく大したことがなくて。 擦りむいて、まぁせいぜい血が出るくらいのものだったのだが。 治らないうちにまた転ぶ、を繰り返す中で気づけば不可逆的にぼこぼこの膝になってしまっていたのだ。そして今に至る。 小さな傷でも治らぬうちに何度も繰り返し同じところにケガをすれば一生残るような傷になる。 それを、我が身を持って知っている私である。 なので、 「何でもかんでもトラウマとか言いやがって」 「そんなことでトラウマになるわけないだろ」 みたいなことを言う人(よくいる)に対しては 「けっ」 とか内心ずっと思ってきたわけだけど、本書を読み進めるうちに 「それもこの人なりの"否認"ってこともあるのかもな」 と少し立ち止まって考えるようになった。 成人の実に6割もの人がいわゆるトラウマ体験を持つのだそうで、その自覚がないままに、しかし無意識に自分のトリガーが引かれるのを回避するために「トラウマなんて!」と言いたくなる人たちもおそらくいるのだろう。 本書は、対人支援のあらゆる現場で注目されている「トラウマインフォームドケア(以下TIC)」について包括的に書かれた一冊である。 さまざまな現場からの発信、そして後半では現在進行中の研究に至るまで網羅されている。 個人的に興味深かったのはやはり発達障害臨床とTICについての一章だったが、全体を通して保護者や支援者のトラウマを扱う点がひとつの特徴にして重要なポイントであろう。 「トラウマのメガネ」をかけることでケースの見方が変わってくる。 これも、ものすごく共感できるところだった。 対人支援の現場にいるあらゆる方にお勧めしたい一冊(自分や所属組織のエンパワメントのためにも)。 国際的にTICの重要性が叫ばれているのになかなか普及していかない要因についても考察されており、自分の中でいろいろなことが繋がる感覚があった。 ACEs、TF-CBT、後半の教育現場における実践の章ではPBSについても触れられている。 後半の研究紹介についてはまだ途上というものもあり、ただデータ(というか解析結果)だけがポンと置かれている章の食い足りなさはややあったものの、全体として非常に重要な一冊だろうと思う。 「小さなことはトラウマになどならない」 という言説は、とても不正確である。 手当てされぬまま、または傷が癒えぬままに何度も何度も受傷するならば、それは消えない傷になって残るのだ。 それが身体であっても、心であっても。
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児童青年期の臨床だけでなく、成人期の臨床にとってもトラウマ的な観点は必要となっている。トラウマ・インフォームド・ケア(TIC)はトラウマの理解に基づいた概念・ケアの基本概念であり、米国では法律もできて各州でパッケージ化されたケアも行われている。日本でも編者の兵庫県心のケアセンター...
児童青年期の臨床だけでなく、成人期の臨床にとってもトラウマ的な観点は必要となっている。トラウマ・インフォームド・ケア(TIC)はトラウマの理解に基づいた概念・ケアの基本概念であり、米国では法律もできて各州でパッケージ化されたケアも行われている。日本でも編者の兵庫県心のケアセンターを中心に行われている現状を行政だけでなく、医療や福祉、教育現場からの報告がされている。精神科救急の現場でも急性期治療での隔離や拘束がトラウマとなるために、TICの視点で対応するガイドラインができていることを恥ずかしながら本書で知った。TICの取り組みは都道府県により差はあるが、動画などを含めた研修も進んでいるので、トラウマ的な視点が臨床に入ると幅が広がることが期待できる。編者の書かれた章は臨床的なジレンマも含めて書かれており、共感でき勉強になった。
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概念としてのトラウマインフォームドケアや、TICを取り入れた臨床・実践の概況、TICを現場に取り入れる上での難しさやそれを打破するヒントなど 横断的に掴むことができる肉厚な一冊だった。
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