#推しが幸せならOKです 富士見L文庫

常世かくり(著者)

• 販売会社／発売会社: KADOKAWA
• 発売年月日: 2022/10/15
• JAN: 9784040746425

商品レビュー

2022/11/20

芸能人同士の純愛ラブストーリー。ユーモアを添えて。
語り手の美聖が、顔だけではなく立ち居振る舞いも可愛くて愛らしかった。子犬系彼氏の良さ。
ストーリーはライト文芸らしく明るく爽やか。楽しく読めた。
自分も推しがいるため、現実世界の推したちにもこんな風に幸せな最終章を迎えてほしいと願わずにはいられない。クライマックスの解散ライブのシーンはグッときた。
胸キュンと癒しと笑いを求めている人にオススメです。

2022/10/22

美聖くん、予想以上のオタクだった。
俳優になる前は寧ろ捻くれていたのに、推しに出会ってからの彼はオープンオタク街道まっしぐら。
一途過ぎてかえって純粋になってしまうほど。
そりゃファンも温かく見守りますな。
アイドルの握手会にライブに芸能人オーラ隠しきれないまま参加する彼が名物とか。
そんな彼を邪魔しないファンの民度が高い。

一方で息吹。
所属グループ解散、芸能界からも引退、そんな彼女の最後の一年間。
美聖くんは、今の立ち位置（最初のPV撮影でご一緒しただけの一ファン）のまま彼女とお別れかと思ったら、最初にアプローチしてきたのは彼女の方だった。
隠されていた引退理由も、結婚の噂も分からないまま、何故か距離が縮まる流れに息吹が何を考えているのか分からず当初は戸惑った。
割と一足飛びに距離感がバグった気がするし。
寧ろあれだけご一緒していて、よく最後になるまでスクープされなかったものだ。
要は息吹の本心が見えなくて不安と不信を覚えてしまって困った。

終盤になりやっと息吹の引退理由が分かると、そこからは素直に二人の仲を見守ることができたが、それまでは非常に歯がゆい読書だった。
美聖くんがピュアだからなあ。
そんな彼が推すのだから悪いキャラではないのは分かるし、頑張り屋なのも分かってる。
ただ何で彼に息吹から近付いたのかが分からなかったのが不信の理由かも。
今まで近付こうと思ったら近付けた筈なのに（一般人よりも芸能人ということで接点は持ちやすかっただろう）
その答えは書き下ろし部分に。
その補完はありがたかった。

にしても、本編最後の美聖くんの決断……どこまでもオタクの行動で驚かされた。
で、そんな彼をファンはやはり温かく見守るのだろう。
やさしい世界だ。