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日本の高山植物 どうやって生きているの? 光文社新書1220
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日本の高山植物 どうやって生きているの? 光文社新書1220

工藤岳(著者)

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日本の高山植物 どうやって生きているの? 光文社新書1220

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 光文社
発売年月日 2022/09/14
JAN 9784334046279

日本の高山植物

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2024/07/22

1320 工藤岳(くどうがく) 1962 年東京生まれ。東京農工大学農学部林学科卒業、北海道大学大学院環境科学研究科博士課程修了。博士(環境科学)。現在、北海道大学大学院地球環境科学研究院准教授。大学院生の時から 30 年以上、高山植物について研究を続けている。これまでの著書に...

1320 工藤岳(くどうがく) 1962 年東京生まれ。東京農工大学農学部林学科卒業、北海道大学大学院環境科学研究科博士課程修了。博士(環境科学)。現在、北海道大学大学院地球環境科学研究院准教授。大学院生の時から 30 年以上、高山植物について研究を続けている。これまでの著書に『高山植物の自然史』(編著、北海道大学図書刊行会)、『大雪山のお花畑が語ること』(京都大学学術出版会)、『生物学者、地球を行く』(小林真とともに責任編集、文一総合出版)などがある。 日本の高山植物~どうやって生きているの?~ (光文社新書) by 工藤 岳  長生きの植物として有名なのが屋久島に生える屋久杉だ。縄文杉とも呼ばれる巨木の年齢は、2000歳ともいわれている。幹まわりは 20 メートルもあり、有史以来の出来事がほぼ全てその年輪に刻まれている。高山帯には巨木はないけれど、数百年を優に超える長寿命の高山植物が溢れている。例えばマット状のイワウメは毎年1~2ミリほどしか成長しない。大雪山の高山帯には1メートルを超えるサイズのマットがあちこちにある。このサイズにまで成長するには、400~500年はかかっているに違いない。アオノツガザクラという植物は、匍匐した枝が広がってひとつの株を形成する。そして1年間の枝の伸長量は1センチほどだ。見かけではひとつひとつの株を区別することが難しいので、遺伝解析によってその大きさを計測してみたところ、 10 メートルを超える巨大な株が結構あると分かった。このサイズにまで成長するには700~800年くらいかかるはずだ。おそらく1000年を超える寿命を持った高山植物も、わりとたくさんいるのだろう。  花はとても魅力的だ。個性的な形、鮮やかな色、かぐわしい香りに魅せられ、人々は古くから花を飾り、栽培し、品種改良し、日常生活に取り入れてきた。食べるためでもなく、生活にどうしても必要なわけでもなく、ただある一時の美しさを愛でるために。庭に花壇を作り、花瓶に花を挿し、春にはサクラ前線を待ちわび、秋には見事なキクの花を競う。生け花では芸術性を追求し、さらには華道という求道的領域へと昇華させるほどに、花は人に影響を与えてきた。 でも、植物が花を作るのはただひとつの目的のためだ。子孫を残す生殖活動として。人は植物の生殖器官を愛でているにすぎない。植物の生殖器官がこれほど華麗で多様なのはどうしてだろう。それは、植物が動けないことと関係している。  生殖には異性との出会いが必要だ。動物は異性を求めて動き回る。でも、地中に根を張っている植物にそれはできない。そこで植物は花粉をばらまく。おしべから散布された花粉がめしべに付着することで受精が起こり、種子ができる。動物ではひとつの個体が雄か雌かのどちらかに分かれているものが多い。ところが植物の場合、ひとつの花の中におしべとめしべの両方を持つ両性花が圧倒的に多い。  動けない植物は、離れた相手に花粉を送り届けるために、第三者の助けが必要になる。それが風の場合もあれば(風媒花)、昆虫や小動物の場合もある(動物媒花)。  ハチはともかく、華麗な高山植物がラブコールを送っている相手がハエ、というのは意外に感じるかもしれない。でもハエ類は高山生態系でとても重要なポリネーターだ。低地から高山、熱帯から極域まで、植物が生える場所ならどこにでもハエはいる。その理由は、短期間で増殖できるからだ。高山の短い夏の間でも、数世代を繰り返すことができる。例えば、生物実験などで使われるショウジョウバエは、卵から成虫になるまで短いもので約 10 日だ。気温が低い日には活動は鈍るが、日が射して暖かくなると、どこからともなく現れて一斉に花にやってくる。いったいどこに隠れていたのかと訊きたくなるくらい、すぐにやってくる。この応答の素早さは、気象条件がめまぐるしく変わる高山環境ではとても重要だ。  ハエは腐肉や糞尿などに集まる不快昆虫のイメージが強い。実際、腐臭を出してハエをおびき寄せる植物もいる。例えば、熱帯多雨林に生え、世界最大ともいわれる花を咲かせるラフレシアは、強烈な匂いを出してハエをおびき寄せる。直径1メートルほどもある花の花粉を運んでいるのは、小さなハエなのだ。 雪と聞くと冷たいイメージがあるかもしれない。だけど雪には優れた断熱効果があるので、積雪下の土壌は凍結しない。だから雪田に生える高山植物は、氷点下にさらされることなく、穏やかな状態で越冬できる。これは、雪山登山をする人には分かるだろう。スコップで雪を掘って雪洞を作り、テント代わりにすることがある。しまり雪に掘られた雪洞の中は、風がなく寒くもない、とても静かで、テントよりも快適な空間だ。

Posted by ブクログ

2023/07/12

山登りが好きで、辛い登りでは足元に咲く花を見ると不思議と元気が出る。もう一息、もうひと踏ん張り、と背中を押してくれるそうした花々は高山植物と呼ばれることが多いが、果たしてその定義は?とネットで調べても「高山帯に生息する植物」としか書いていないことが多い。もっと体系的に、簡潔にでも...

山登りが好きで、辛い登りでは足元に咲く花を見ると不思議と元気が出る。もう一息、もうひと踏ん張り、と背中を押してくれるそうした花々は高山植物と呼ばれることが多いが、果たしてその定義は?とネットで調べても「高山帯に生息する植物」としか書いていないことが多い。もっと体系的に、簡潔にでも、高山植物のことを学びたいと思っていたところ図書館で出会った本。 高山植物の花の美しさを解説する、といういささか著者の主観的な表現もあるが、それ以上に多くのフィールドワークと昆虫や動植物、地質などなど植物に関わる幅広い分野の情報まで記述してくれる、それでいて初学者にもわかりやすい入門書。 第5章では消えゆくお花畑と題して高山植物の直面する地球温暖化(気候変動)について述べられているが、そこで起こる高山植物の減少という問題に対して、人間はどう対応すべきか、という課題付与には考えさせられた。自然には手をつけるべきではないのか、あるいは積極的に保護すべきなのか。はたして植物にとって望ましい介入の仕方はどうあるべきなのか。本書で答えは出ていないし、著者の意見もあらわされていないが、考えるきっかけを与えてくれる本だった。

Posted by ブクログ

2022/10/06

<目次> 第1章  高山植物という生き方 第2章  高嶺の花はなぜ美しい 第3章  お花畑ができる仕組み 第4章  高山植物のたどった道 第5章  消えゆくお花畑 <内容> ただ「きれい」な高山植物の紹介ではなく、過酷な環境の中で生きている高山植物を、科学的に研究したものの普及...

<目次> 第1章  高山植物という生き方 第2章  高嶺の花はなぜ美しい 第3章  お花畑ができる仕組み 第4章  高山植物のたどった道 第5章  消えゆくお花畑 <内容> ただ「きれい」な高山植物の紹介ではなく、過酷な環境の中で生きている高山植物を、科学的に研究したものの普及書。第5章で、地球温暖化を主に受けているのが高山植物だと知って、人間として恥ずかしい感じがした。

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