商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2022/08/25 |
JAN | 9784065288382 |
- 書籍
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月の三相
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月の三相
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誰もが自身の面を持つ町での入り組んだ物語は、三叉路の多い町の路筋であり、年齢とともに刻まれる顔の皺の流れでもある。頭部は自身で視認出来ず、外部を把握する感覚が集まる部位で、身体の一部でありながら外との接続が強いと言える。面というフィルターで、他者との時間と距離を描いた美しい小説。
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月の三相とは、"新月""半月""満月"。月の光が変容を受け入れてくれる。面に惹かれて旧東ドイツの南マインケロートという街にやってきた3人の女性の名にも月が含まれている。面は、欺瞞を表し針鼠にも変貌する。髑髏もまた面である...
月の三相とは、"新月""半月""満月"。月の光が変容を受け入れてくれる。面に惹かれて旧東ドイツの南マインケロートという街にやってきた3人の女性の名にも月が含まれている。面は、欺瞞を表し針鼠にも変貌する。髑髏もまた面である。抽象的な印象だが細かな描写であり想像力が掻き立てられ瞼に映像が映し出される。エーミールとクララ…フランク、フローラ、歴史に引き裂かれる。フランクの拘りの蝶に結びつく物。トマスの蝶へのトラウマ。奇妙な『眠り病』という流行病。人魚姫や茨姫に例えられたり、いくつもの次元が交差するような肖像面の物語。
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面が造られる時、モデルの人格を理想にしろ隠すだけにしろ、何かしら持つと思う。 その面が身体を持つとは、その面にとって歓迎できない人格が到来したときではないか。 あわてて、自分探しの旅に出る。 ヤーコプの面が身体を持ったのは、活発なクララと出会い彼女の面を作ろうとしてから。眠り顔...
面が造られる時、モデルの人格を理想にしろ隠すだけにしろ、何かしら持つと思う。 その面が身体を持つとは、その面にとって歓迎できない人格が到来したときではないか。 あわてて、自分探しの旅に出る。 ヤーコプの面が身体を持ったのは、活発なクララと出会い彼女の面を作ろうとしてから。眠り顔作家のヤーコプには戸惑うことだったと思う。自然と現れていなかった彼の人格が顔を出したのではないか。 フローラはフランクによって人格化されていた。 しかし長年、まわりからいろいろな噂をされる中で「自分とは何だろう?」と思ったのかもしれない。 本当の人格とは自分でも誰にとっても可視化できないものだが、面として自分がつければ、そこに限りない自己同一化があるのではないか。 だから、時と共に成長を刻んで齟齬をなくす。 そうあらねばならない顔。 望の放浪は、もし彼女が面を持っていてディアナの助けがなければ、それは身体化していたかもしれないとか思った。
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