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神馬/湖 竹西寛子精選作品集 中公文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2022/08/23 |
JAN | 9784122072466 |
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神馬/湖
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昭和の短編集だったかな。その一篇に竹西寛子『人馬』があり、好みだったのでこちらを拝読。 さすがにすべて同著者だと好みがわかれる作品もありましたが好きな作品は以下のタイトルです。 『兵隊宿』 兵隊が戦地へ出兵する前の数日、その将校や兵隊に寝床を提供した宿の話。 その宿の子ども「...
昭和の短編集だったかな。その一篇に竹西寛子『人馬』があり、好みだったのでこちらを拝読。 さすがにすべて同著者だと好みがわかれる作品もありましたが好きな作品は以下のタイトルです。 『兵隊宿』 兵隊が戦地へ出兵する前の数日、その将校や兵隊に寝床を提供した宿の話。 その宿の子ども「ひさし」と「将校」が馬を通じて少し心を通わす。でも決して近付きすぎることはないような。戦時中、敵地へ赴く人間と残る人間の心の機微が伝わるような心持ちで染み入った。 『虚無僧』 ひさしは虚無僧が怖い。 歩いているのはまだまし、じっと立っている虚無僧と歩いていて急に立ち止まった虚無僧がとても怖いと思っているお話。 同級生2人と帰宅中、おもわず虚無僧のあとをつけることに。 そこでひさしは昔を思い出す。 朝早く家から出て行く者が居て、誰だかを確かめるべくあとを付けたことを思い出すが…。 得たいの知れないものに対する怯え。たとえばそれは「怪談・お化け・幽霊」だったり「暗闇」もそうか。人によっては自分の信じない「信仰」が恐怖対象になる。 ひさしがつかみどころのない、自身の心に湧く複雑な恐怖。 きっと自分に降りかかってくるものならそこまで難しい心境にはならないんだろう。ここにあるのは自分では解決できそうにない事象への恐怖、自分が必要とされないことへの恐怖、自分と違う世界を生きている者への恐怖がある。 『神馬』 とある島にある神社の入り口。厩舎に1頭だけ「じんめ→神馬」と、少女。 ある日、赤ら顔の中年男が自分の娘にせがまれるまま人参皿を買い神馬に与える。食べてる最中に「お廻り❕」と指示。左に廻る馬。他の客も二、三と人参を与え「お廻り❕」。 少女はそれをみて悲しくなる。 馬、人参はもういいもとばかり寝転んで休憩。 人集りがなくなり、一組の母子が見えて人参を与える。馬がまた廻る。 「お廻り」も発してないのに。 母子顔を見合わす。 少女、悲しいというわけでも怖いというわけでもなく、馬と一緒にいた時間のなかで、一番不仕合わせに感じているに気づく。人生の気重さ、後ろめたさ。それを感じるのはまだ先のこと。 長くなりそうなので3作くらいで。 全体的に悲哀を帯びた中に人の暖かみを感じる作風が好ましかったです。
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とても静謐で、また、真に誠実な短編集。こういう文学こそ、今読まれてほしいと思う。それは、たんに戦争の時代を扱っているからということだけではなくて、言葉一つひとつの本来的な質量への畏敬のもとで生死が書かれているからだ。言葉をやたらに重ねることなく紡ぐには、きっと、作者の奥深い内部で...
とても静謐で、また、真に誠実な短編集。こういう文学こそ、今読まれてほしいと思う。それは、たんに戦争の時代を扱っているからということだけではなくて、言葉一つひとつの本来的な質量への畏敬のもとで生死が書かれているからだ。言葉をやたらに重ねることなく紡ぐには、きっと、作者の奥深い内部で精神がじっと蹲るような、時が流れているのに流れていないような、深淵を通るに違いないと思う。今日び、小説でも随想でも、こんなに深い過程から生み出されてきたものは、数えるほどになっているのではないだろうか。
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表題作ほか、「兵隊宿」(川端賞)「蘭」「鶴」など自選短篇小説全十三篇に、高校の国語教科書で親しまれた随想八篇を併せた決定版作品集。〈解説〉堀江敏幸
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