商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 風媒社 |
発売年月日 | 2022/06/07 |
JAN | 9784833111461 |
- 書籍
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障害者たちの太平洋戦争
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障害者たちの太平洋戦争
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商品レビュー
3.5
4件のお客様レビュー
著者は冒頭で、「しょうがいしゃ」という音に、「障害者」「傷害者」という2通りの字を当てはめて、本書を読んでほしいという。本書は、戦時中、様々な身体的ハンディキャップのため「戦力」にならない人々はどうしていたか、そして、戦争で被災し、障害を負わされた「傷害者」の戦後はどうであった...
著者は冒頭で、「しょうがいしゃ」という音に、「障害者」「傷害者」という2通りの字を当てはめて、本書を読んでほしいという。本書は、戦時中、様々な身体的ハンディキャップのため「戦力」にならない人々はどうしていたか、そして、戦争で被災し、障害を負わされた「傷害者」の戦後はどうであったかを、記録やインタビューを通してたどったルポである。 本書の表紙には「狩りたてる・切りすてる・つくりだす」とある。狩りたてられたのは、視覚や聴覚にハンディを持つ人々だった。前者は聴覚が優れているのではという想定の下、敵機来襲の音をいち早く察知する防空監視哨として、或いは、傷病兵士の按摩手として、後者は産業戦士として製造業に狩りだされた。 当時の「聾唖戦士の歌」に、 「耳は聞こえぬ この腕で 興亜の火花 咲かそうぜ」 とある。「お国」のために働かないものは役立たずの非国民という価値観に塗りつぶされていた時代、身体的ハンディを持つ人々は後ろめたさを抱えざるを得ず、こうした奉公の道があれば、積極的に関わっていった。その意味で「狩りたてる」は「駆りたてる」でもあった。 切りすてられたのは、知的ハンディを持つ人々、肢体不自由の人々だった。心ある人々によって設立され、彼ら・彼女らが生活していた施設は、軍に明け渡すよう要請された。「要請」と言っても断れるはずはなく、また、その後の疎開先についても軍は一切関知せず、自分で探すしかなかった。藤倉学園が疎開した清里は、当時、寒く不便な場所で、何人もがそこで命を落としていった。列車で移動中の子どもたちを見て、憲兵が引率者に囁いた言葉がすべてを物語っている。 「私が処分してあげましょうか」 そして戦争は、失明、脚切断等の重篤なハンディを持つ多くの「傷害者」をつくりだし、切りすてた。「防空法」によって人々は、空襲の際、実質的に避難を禁止されていた。政府の言う「退避」とは、空襲から逃れることではなく、焼夷弾の火を消すため、一時待機することだった。指示された消火方法は棒や筵、バケツを使った原始的なもので、到底焼夷弾に通用するものではなかった。1943年に写真週報に示された「時の立札」には以下のようにある。(この箇所は「逃げるな、火を消せ!」(大前治)からの引用) ルーズヴェルトがわめいている 待つあるを恃むわれらに 何の威嚇となるだらう われらの水と砂と筵と闘魂とで 見事に一泡吹かしてやらう このように人命を軽視する非科学的な行動を強制された結果つくりだされた傷害者は、戦後、放っておかれた。旧軍人・軍属やその遺族には年金や恩給が支給されたのに対し、空襲被害者は国との雇用関係がなかったというのがその理由だ。著者は、空襲により左目を失い、国の冷酷な対応に立ち向かうべく、全国戦災傷害者連絡会を結成した杉山千佐子氏の行動を通して、傷害者の戦後をたどっていく。杉山氏は2016年、101才で亡くなったが、国は民間戦災傷害者に対して、現在に至るまで、1円も支払っていない。著者が戦傷者から何度も聞いたという言葉に、人間に対するこの国の姿勢が凝縮されている。 「国は私たちが死ぬのを待っているんだ」 本書を読むと、「お国」とやらが化け物に見えてくる。当時、手話が禁止され、口の形を読み取る口話が強制された。聴覚にハンディを持つ人々は、学校で手話を使うとビンタを食らうなど、大変な苦労を強いられたとあるが、それは「日本人たるもの、我が国の言語をできるだけ完全に語る」ためであった。沖縄の方言札と同様のやり口が、ここでも一貫して使われている。現在も、学校での日本語の授業は「国語」と呼ばれているが、得体のしれないものを崇拝させようとする悪弊は、この国の至る所に未だしぶとく根を張っている。それを「国柄」などと呼ぶ愚か者もいる。 私たちはみな、確実に老いていき、様々な身体機能を失っていく。それだけは間違いない。その意味で、私たちは、手厚い保護が約束されているほんの一握りの例外としてではなく、巻き込まれ、狩りたてられ、つくりだされ、切りすてられる人間であることを自覚すべきである。そして、そのような側の人間として、武器輸出、マイナンバー、原発、汚染水等の諸問題を、この国の今の姿を見つめるべきである。本書はそのようなきっかけを与えてくれる、貴重な記録である。
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障害者が戦時中、どう過ごしていたのか気になってて手に取った本 戦時中は、お国のために… 障害があるために役に立てないと思われたくない気持ちが痛々しかった 目が見えない人たちは、聴力が人並み凄く その聴力を活かして、部品作りに力を入れるとか 皆が、できることをしていた 部品作...
障害者が戦時中、どう過ごしていたのか気になってて手に取った本 戦時中は、お国のために… 障害があるために役に立てないと思われたくない気持ちが痛々しかった 目が見えない人たちは、聴力が人並み凄く その聴力を活かして、部品作りに力を入れるとか 皆が、できることをしていた 部品作りなどに聾学校の小学生の子が働いていて空襲の犠牲になっていて 小学校が働いていた事実に驚いた
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祖父は、傷痍軍人だった。明治末の生まれ。 叔母は、大戦末期の生まれで、脳性麻痺。 日本の近代ね。そう、祖父の兄弟三人、全て戦没した。 ほんと、不自由で、無慈悲な内実を有する文化だ。
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