商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 朝日新聞出版 |
発売年月日 | 2022/04/07 |
JAN | 9784021003028 |
- 書籍
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朝日歌壇(2021)
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朝日歌壇(2021)
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朝日新聞日曜版の「朝日歌壇」に2021年に掲載された2040首(40首×51週)を一冊にまとめたものである。 朝日歌壇は、他の主要な新聞歌壇(読売、毎日、日経等)が選者を指定して投稿するのに対し、4人の選者が投稿された全ての歌を見て、それぞれの選者が10首の入選作を決める「共選」...
朝日新聞日曜版の「朝日歌壇」に2021年に掲載された2040首(40首×51週)を一冊にまとめたものである。 朝日歌壇は、他の主要な新聞歌壇(読売、毎日、日経等)が選者を指定して投稿するのに対し、4人の選者が投稿された全ての歌を見て、それぞれの選者が10首の入選作を決める「共選」というシステムを取っている。(従って、同一の歌を複数の選者が選ぶことがあり、上記の2040首は延べ数である) 私は、暫く前から日経歌壇に投稿し、複数の入選実績もあるのだが、作歌の参考にするために他の新聞歌壇に目を通すこともあり、今般書店で本書をたまたま見つけて購入した。 そして、一通りページをめくってみて、各紙・歌壇のスタンス(及び、各選者の作風・考え方)によって、選ばれる歌にかなりの違いがあることを、改めて感じた。 朝日新聞は、革新的・進歩的な論調を特徴としている一方で、歌壇の選者は、馬場あき子、佐佐木幸綱、高野公彦、永田和宏という、いずれも著名な結社のトップ、かつ、平均年齢80歳超で、保守的な印象があるのだが、選ばれる歌は時事詠・社会詠がとても多いように見える。佐佐木氏は、本書の年間秀歌のコメント欄に、「昨年の年間十首選は、すべて新型コロナにかかわる歌を選んだ・・・新聞歌壇では、やはりニュース性が一つ、大きなポイントになります。」と書いてもいる。 他方、私が投稿している日経新聞は、論調には特段の特徴がないものの、歌壇の選者は三枝昂之と穂村弘で、三枝氏は歌会始選者も務めるベテランであるのに対し、穂村氏は、歌壇以外でも精力的に活動し、おそらく現在最も人気のある歌人で、かつ50代と若く、それぞれが選ぶ歌にはかなりの違いがある。そして、両氏(特に穂村氏)は時事詠・社会詠はほとんど取らない。(流石にコロナ禍や、最近のロシアのウクライナ侵攻を詠んだ歌は選ばれているが) また、穂村氏選では、若手人気歌人の木下龍也がかつて投稿していたり、最近第一歌集を出したtoron*が今でもときどき選ばれていたり、新聞歌壇的ではない、プロの歌人を目指す若手の歌が見られることも、他の新聞歌壇とは趣を異にする。 上記のような各紙の違いはありつつも、名もあり実力もある歌人が、素人の作った歌に目を通し、いい歌は選び、新聞にも掲載してもらえる新聞歌壇という文化は、素晴らしいものであるし、そうした文化があってこそ、短歌(俳句も同じだろうが)という地味な文芸ジャンルが、一部の専門家だけではなく、一般人が楽しめるものとして、現代でも続いていることは間違いなく、私としても、これからも、歌を詠み、読んでいきたいと思う。 (2022年5月)
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